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書籍のご案内

日本における近代科学の形成過程
  
中村邦光、板倉聖宣 著
A5判・上製・296頁
(本体6,200円+税)
ISBN 4-8115-5911-8 (品切れ)
内容概略
 「日本の近代化の過程」に関する研究は、近頃では日本だけでなく、世界各国において関心がもたれているようになってきました。そして、日本の近代化の過程の中の、特に、「日本科学史」に関する研究は、今では江戸時代における「和算・暦学」や「本草・医学」といった分野の研究と、儒学や仏教における自然観などの思想史的な研究、または幕末から明治維新における「蘭学史・洋学史」に関する研究が中心でした。しかし、それらの研究の中で、これまでに「個々の科学概念」の認識の状況とその変遷の経緯など、具体的な調査・研究はなされていません。
 本書は、自然認識の状況を探ることのできるような概念を取り上げ、日本におけるその取り扱いの変遷の経緯を探索したものであり、その一環です。本書によって、日本の近代化の過程の中で,特に「近代科学の形成過程」の一部は具体的に明らかにされたと思われます。したがって、日本科学史上において本書が刊行されたことの意義はきわめて大きいといえます。

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目次

 第Ⅰ部 江戸時代の日本における「アルキメデス的科学」――萌芽と挫折
第1章 江戸時代の日本における「浮力の原理」と「密度」概念
第2章 江戸時代の日本における「てこの原理」と「モーメント」概念
第3章 江戸時代の日本における数学的な「証明」概念――円周率の算出方法をめぐって
 第Ⅱ部 日本における「西洋科学」受容過程
第1章 日本における「火・熱」の概念の歴史
第2章 18~19世紀の物理学と蘭学の間――廣川晴軒の「三元素説」の評価との変遷
第3章 江戸時代後期の東日本における「畑作中心地域(養蚕地域)」の農民の特性と「和算」文化
 第Ⅲ部 資料の部
第1章 旧制一高所蔵洋書の「PHYSICSの部」
第2章 学会発表「要旨」

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著者

中村邦光、板倉聖宣 著

中村邦光(なかむら くにみつ)

1934年 長野県生まれ
1957年 東京理科大学理学部卒業
1970年 日本大学農獣医学部専任講師
現 在 日本大学生物資源科学部教授

板倉聖宣(いたくら きよのぶ)

1930年 東京生まれ
1953年 東京大学教養学部科学史科学哲学分科卒業
1963年より仮説実験授業を提唱。
のちに仮説実験授業研究会を組織して会代表となる
現 在 私立板倉研究室室長

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