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書籍のご案内

論集・ドストエフスキーと現代
―研究のプリズム  
木下豊房、安藤厚 編著
A5判・上製・568頁
(本体9,500円+税)
ISBN 4-8115-6021-3
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内容概略
 ドストエフスキーをめぐっては、ここ数十年来、ロシア本国、および欧米、日本において研究集会が年に幾度となく開かれ、3年に1度は国際シンポジュウムが開催されて、世界的にも研究活動が活況を呈している。
 本書に収められた40本の論文の基軸になる部分は、1998年のニューヨーク、コロンビア大学での第10回国際シンポジュウムでの日本側参加者の報告を基にした論文であり、また、文部科学省科学研究費基盤研究に基づく国内研究活動での報告を踏まえた論文である。
 執筆者は国内の大学に籍を置くロシア文学、もしくは比較文学研究の専門家であり、大学院博士課程在籍の若手研究者も参加している。各論文は、明確な方法とテーマの設定、集約的な論述と学術的な論証を特徴としており、総じてドストエフスキー研究の饗宴ともいえよう。
 本論集は、国際的な場に開かれた形での、現代日本ドストエフスキー研究の最前線と現状を紹介したものである。

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目次

第Ⅰ部〈作品分析〉
  『罪と罰』、隠された女神たち 芦川進一
  『白痴』における笑い 上田洋子
  ドストエフスキー文学におけるイメージと想念の多重性について 小田島太郎
  『白痴』におけるムイシュキンとロゴージンの形象 高橋誠一郎
  『白痴』における女性名詞単 数造格語尾《-ИЮ\-ЬЮ》の使い分けについて 安藤 厚
  ドストエフスキーの長編小説と『作家の日記』における 「美」の用法 安藤 厚
  ドストエフスキイの『悪霊』における語り手の「安全性」について 桜井厚二
  ドストエフスキイの小説とうわさ話 野中春菜
  ドストエフスキーの長編小説で誰が主人公か 小田島太郎
  『悪霊』の逆説 糸川紘一
  『悪霊』に入らなかった一章 国松夏紀
  ドストエフスキーの小説『おとなしい女』にみる時間意識 望月哲男
  『おとなしい女』論――主人公の「不幸な意識」をめぐって 木下豊房
  ローセフのシンボル論とドストエフスキーの短編『おとなしい女』 ウラヂーミル・ジダーノフ/鈴木淳一
第Ⅱ部〈比較・対比研究〉
  ドストエフスキイと村上春樹 井桁貞義
  ディケンズとドストエフスキー 及川陽子
  ドストエフスキーとアンドレーエフ・比較試論 金沢美知子
  「大審問官」とプーシキン 郡 伸哉
  B. C. ソロヴィヨフの「全一的知」とドストエフスキー 小林銀河
  ドストエフスキイの美術アカデミー展評 池田和彦
  ドストエフスキイとマネの『ニンフとサチュロス』 池田和彦
第Ⅲ部〈バフチンの視点をめぐって〉
  生成するテクスト 杉里直人
  ドストエフスキーにおける〈声〉と〈顔〉の主題を問題化するために 番場 俊
  バフチン「ドストエフスキー論」の説得力 国松夏紀
  バフチンのフロイト批判 萩原俊治
  ポリフォニー小説の概念をめぐって 木下豊房
  パラドックスとポリフォニー 望月哲男
第Ⅳ部〈精神分析・宗教的視点から〉
  ドストエフスキーの読者について 萩原俊治
  ドストエフスキーの近代科学観 萩原俊治
  わが隣人ドストエフスキー 萩原俊治
  ドストエフスキーの文学における甘えの構造 清水孝済
  ドストエフスキーと催眠術 越野 剛
  ドストエフスキイ作品中の神とキリストの齟齬について 山口 仁
第Ⅴ部〈研究ノート〉
  ドストエフスキーとユダヤ人問題・覚え書き 中村健之介
  ドストエフスキーとダニレーフスキイ 高橋誠一郎
  主人公と外面化の機能 郡 伸哉
  ドストエフスキイと神話 桜井厚二
  もういちどドストエフスキー事始め 鈴木淳一
  ドストエフスキーにおける依存型人間 中村健之介
  ドストエフスキー研究とコンピュータ 安藤 厚

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著者

木下豊房、安藤厚 編著

木下豊房(きのした とよふさ)

1936年長崎県生まれ
早稲田大学大学院文学研究科(ロシア文学)博士課程単位取得退学。
現在、千葉大学教授。
主著:『近代日本文学とドストエフスキー』(成文社、1993)ほか


安藤 厚(あんどう あつし)

1947年神奈川県生まれ
東京大学大学院人文科学研究科(比較文学比較文化)修士課程修了
現在、北海道大学教授
主著:『ドストエフスキー《罪と罰》コンコーダンス』(共編、北海道大学、1994)

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