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書籍のご案内

空間と持続可能な環境政策の理論的研究
  
伊ヶ崎大理・内藤徹・福山博文著
A5判・上製・260頁
(本体4,400円+税)
ISBN 978-4-8115-7491-2 C1033
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内容概略
地球温暖化、大気汚染、水質汚濁など各種の環境問題への対処が世界各国にとって早急な課題となっている。環境問題はその性格上、1国あるいは1地域単位での環境政策は有効性を発揮することが困難であり、経済全体で取り組む必要がある。さらに現在では輸送費の低下などにより経済的にはボーダレス化が進展しており、その必要性はさらに増している。環境政策の実施は他の経済主体に小さくない影響を与えるため、経済システム全体の中で議論されなければならない。しかしながら、これまでの環境政策はこうした空間的な要素を捨象して議論がなされてきたため、その分析結果は実際の政策に応用することが容易ではなかった。
 本書はこうした問題意識に基づき、先進国のみならず発展途上国も念頭におき、環境問題を考慮したいくつかの経済モデルを構築し、理論的な側面から考察を行っている。著者はそれぞれ空間経済学、内生的経済成長論、廃棄物に関する環境経済学と各視点から環境政策の有効性について分析し、持続可能な環境政策について検討している。本書で展開されている理論モデルによる分析手法は、応用ミクロ経済学やマクロ経済学など多岐にわたり、その分析は多種多様な環境問題に対して有効な処方箋を与えるであろう。

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目次

はじがき
序章
第1章 規模の経済と地理的集積
  1.1 企業や人口の集積はなぜ起こるのか
  1.2 モデル
  1.3 短期均衡
  1.4 長期均衡
  1.5 工業財部門の集積と分散
  1.6 まとめ
第2章 環境問題と経済成長理論
  2.1 環境問題と経済成長との関係
  2.2 静学モデル
  2.3 動学モデル1
  2.4 動学モデル2
  2.5 まとめ
  2.6 補論
第3章 廃棄物処理の経済分析
  3.1 廃棄物問題とは何か
  3.2 わが国における廃棄物政策
  3.3 わが国における廃棄物関連法
  3.4 廃棄物処理の経済分析
  3.5 まとめ
第4章 二重経済下における失業,越境汚染,環境政策
  4.1 環境政策と経済発展は両立するのか
  4.2 モデル
  4.3 均衡
  4.4 比較静学
  4.5 社会厚生
  4.6 まとめ
第5章 ごみの分別行動とリサイクルの経済分析
  5.1 最適なごみ処理政策とは何か
  5.2 モデル
  5.3 社会的最適解
  5.4 最適なゴミ処理政策
  5.5 まとめ
第6章 二地域モデルにおける廃棄物の越境移動と最適環境政策
  6.1 不法投棄を抑制する政策とは何か
  6.2 産業廃棄物の処理モデル
  6.3 産業廃棄物の越境移動モデル
  6.4 まとめ
第7章 技術選択および環境政策
  7.1 集積による生産性の上昇と環境問題
  7.2 モデル
  7.3 技術の選択と環境政策
  7.4 人口移動
  7.5 まとめ
第8章 産業汚染と集積の経済
  8.1 はじめに
  8.2 モデル
  8.3 短期均衡
  8.4 長期均衡
  8.5 まとめ
第9章 混合寡占下における環境規制と公企業の部分的民営化
  9.1 公企業の民営化は環境を悪化させるのか
  9.2 モデル
  9.3 環境政策の選択:直接的規制と間接的規制
  9.4 まとめ
第10章 イノベーション,人的資本,および環境汚染を伴う経済成長モデル
  10.1 より複雑な経済成長モデルの検討
  10.2 モデル
  10.3 市場経済における基本モデル
  10.4 定常状態均衡
  10.5 R&D政策と最適な資源配分
  10.6 含意
  10.7 まとめ
  10.8 補論
結語
参考文献
索引 

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著者

伊ヶ崎大理・内藤徹・福山博文著

伊ヶ崎大理(いかざき だいすけ)
日本女子大学家政学部専任講師

内藤徹(ないとう とおる)
釧路公立大学経済学部准教授

福山博文(ふくやま ひろふみ)
鹿児島大学法文学部准教授

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