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書籍のご案内

〈老い衰えゆくこと〉の社会学〔増補改訂版〕
  
天田城介著
A5判・並製・692頁
(本体4,000円+税)
ISBN 978-4-8115-7571-1 C1036
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内容概略
本書では、痴呆や慢性疾患を抱えて生きる高齢者、あるいは彼/彼女らを介護する人々の視点に徹底的に照準化した上で、そうした当事者から見た〈老い衰えゆくこと〉の生活世界を剔出し、高齢者が老い衰えゆくなかで人間と人間の関係性がどのように変容していくのかを鮮明に析出している。加えて、本書では施設介護、在宅家族介護、高齢夫婦介護という三つの実際の現場におけるインテンシブなフィールドワークに基づいた緻密かつ大胆な実証研究が展開されていると同時に、その結果を踏まえた上で新たな理論的地平を切り拓いている点こそ、本書の紛う方なき功績である。
 本書は、以上のような理路を経た上で、はじめて〈老い衰えゆくこと〉を「政治的出来事」として照らし出した先駆的研究である。その意味で、社会学や社会福祉学、看護学などの領域の研究者のみならず、実際に高齢者福祉の現場で働く人々、あるいは自ら老いを迎えつつある人々や親の老いを看ている人々にとって必読の書である。

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目次

序章 研究の目的と意義
  〈老い衰えゆくこと〉へのまなざし
  本研究の主題設定と方法論
  本研究の構成
第一章 視座とアプローチ――自己と他者
  自己と他者――「再帰性」の視点から
  「絶えざる・寄る辺なき再帰性による物語」
  「儀礼」と「物語」の解読
  方法論における〈視線〉の二重性――社会学の「語る」場所
第二章 老年学の現在
  高齢社会の歴史性
  老年学の現在
  高齢社会における再帰的エイジング
  〈老い衰えゆくこと〉の社会学に向けて
  老い衰えゆく自己と他者
第三章 施設において老い衰えゆく身体を生きるということ
  〈老い衰えゆくこと〉と相互作用秩序
  ロビーにおける「痴呆性老人」の関係性分析
  「痴呆性老人」における/をめぐる相互作用の諸相
  施設介護における「痴呆性老人」へのケアの実践の構築 
第四章 在宅で老い衰えゆく身体を生きる家族を介護するということ
  〈家族〉による介護の困難性
  「痴呆性老人」と家族介護者における相互作用過程
  家族介護をめぐる相互作用ダイナミズム
  在宅家族介護における「痴呆性老人」へのケアの実践の構築
第五章 老い衰えゆく高齢夫婦の〈親密性〉の変容
  老い衰えゆく自己と他者
  老い衰えゆく高齢夫婦をめぐる〈親密性〉の変容
  高齢夫婦における〈親密性〉の達成
  高齢夫婦介護における老い衰えゆく人々へのケアの実践の構築
第六章 老い衰えゆく身体を生きる――〈老い衰えゆくこと〉の困難と可能性
  「市民社会」における〈老い衰えゆくこと〉の構成
  〈老い衰えゆくこと〉の語り難さ・語り得なさ
  〈ケア〉の困難と可能性――暴力としての介護
終章 〈老い衰えゆくこと〉の社会学による新たなる地平へ
  本研究の結論――「再帰的エイジング」を超えて
  〈老い衰えゆくことの可能性〉と〈ケアの可能性〉の基底的条件
  いくつかの提言――実践的可能性に向けて
補論 老い衰えゆく身体をめぐる社会
  死の贈与のエコノミーと犠牲の構造――老い衰えゆく人びとの生存という戦術
  〈ジェネレーション〉を思想化する
  「脆弱な生」の統治――統治論の高齢者介護への「応用」をめぐる困難
「増補改訂版」あとがき
参考文献

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著者

天田城介著

天田城介(あまだ じょうすけ)
立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授

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