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アメリカの学級規模縮小政策
―カリフォルニア州に焦点をあてて
星野真澄 著
A5判・上製・272頁
(本体5,500円+税)
ISBN 978-4-8115-7861-3 C1037
本書は、地方分権的な財政構造を有するアメリカを取り上げ、中でも多額の予算を投入したカリフォルニア州の学級規模縮小政策について、いかに財源を確保し、州議会の合意を経て政策を実現したのか、学級規模縮小プログラムの成立・展開過程を明らかにしています。
これまで少人数教育の効果や適正規模に関する研究が数多く蓄積されており、学級規模縮小の有効性も明らかにされてきました。しかしながら、実際に学級規模縮小を全国的に実施しようとすると、教員定数の増員を伴うこの政策は、多額の予算を要するため、財務省や財務担当者の合意を得ることは容易なことではありません。本書は、1980年代以降の約30年間を体系的に捉えて分析したことにより、如何にして多額の予算を必要とする学級規模縮小政策に合意を形成して、法制化し、継続的に実施してきたのか、その方途と課題を明示することを目的に取り組みました。とくに単なる数合わせの学級規模縮小政策ではなく、学級規模縮小の教育的利点を最大限に引き出すための仕組みを構築したアメリカ独自の「学級規模縮小プログラム」の全貌を明らかにしている点が特徴です。
今後、日本において地方分権が推進する中で学級規模縮小を実現する際に、多額の予算を要する学級規模縮小資金を如何に確保し、プログラムを如何に構築して継続的に実施するのか、学術的な議論に加え、政策立案者を含めた議論が高まることを期待しています。
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はじめに
序章 研究の課題と方法
1.問題の所在と研究目的
2.研究課題と方法
3.先行研究の検討と本研究の意義
4.章ごとのねらい
第1章 学級編制に関する法律の基盤と背景
1.米国における学級制度の誕生と動向
2.カリフォルニア州の「クラス」制度の特色
3.カリフォルニア州の教育行政の構造とその特色
第2章 「学級規模縮小プログラム」の萌芽期
1.1980年代に学級規模縮小法案が要求された背景
2.法案の内容と審議過程
3.学級規模縮小の財源確保
4.1989年に成立したモーガンハート学級規模縮小の法制度
第3章 「学級規模縮小プログラム」の形成期
1.1990年代に学級規模縮小法案が要求された背景
2.州議会での成立要因
3.1996年に成立した学級規模縮小の法制度
4.学級規模縮小プログラムの財政制度
第4章 「学級規模縮小プログラム」の展開期
1.ハイスクールの学級規模縮小プログラムの制度的変容
2.K-3の学級規模縮小プログラムの制度的変容
3.K-3の学級規模縮小プログラムの実践に見られた変化
第5章 「学級規模縮小プログラム」の実態
1.学級規模縮小プログラムに応じた教員の職能開発の実践
2.K-3の学級規模縮小の実態
終章 研究の成果と今後の課題
1.本研究の成果
2.今後の課題
引用・参考文献一覧
おわりに
索引
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星野真澄 著
星野 真澄(ほしの ますみ)
筑波大学人間系(教育学域)特任助教
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