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マクロ経済学
  
R.E.ホール、J.B.テーラー 著 森口親司 監訳
A5判・並製・484頁
(本体3,800円+税)
ISBN 4-8115-3611-8
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内容概略
 本書は、米国の大学および大学院での中級マクロ経済学のテキストとして広く読者を獲得している新しいタイプの教科書である。米国経済の現実から例をとりながら、経済活動水準、物価、および金利の決定を、長期経済成長の趨勢とその径路からの乖離(不況と好況)という2つのフェイズにわけて統合的な説明を展開している。
 IS-LM曲線という伝統的な道具を背骨として、その上で、労働市場、政策決定、経済主体の合理的予想形成、といった80年代に確立したマクロ経済学の標準的な概念を取り扱い、短期モデルと長期成長モデルとの有機的な組み合わせによって統一的に展開している。

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目次

 第Ⅰ部 マクロ経済学の基礎
第1章 マクロ経済
 1.1 マクロ経済の最近の動向
 1.2 長期経済成長を説明する
 1.3 景気変動を説明する:完結モデル
 1.4 マクロ経済学における思潮
 1.5 本書で用いられるマクロ経済モデル
第2章 経済活動の測定:産出量と所得
 2.1 国民総生産
 2.2 支出からGNPを測定する
 2.3 生産からGNPを測定する:付加価値
 2.4 所得からGNPを測定する
 2.5 貯蓄と投資
 2.6 海外部門との相互取引:国際収支と為替レート
第3章 経済の動きを観測する:インフレーションと雇用
 3.1 インフレを測定する
 3.2 雇用、失業、賃金を測定する
 3.3 生産性
第4章 長期成長モデル
 4.1 経済成長の決定要因
 4.2 完全雇用均衡と潜在GNP
 4.3 経済成長の方程式
 4.4 成長促進政策
 4.5 実物的景気循環論による経済変動の説明
 補論 経済成長方程式の導出
第5章 完全雇用経済における財政・金融政策
 5.1 実質GNPに対するマクロ経済政策の影響
 5.2 おもな生産要素への財政政策の影響
 5.3 通貨市場と物価水準
 5.4 インフレーション
 5.5 まとめ:古典派の二分法
第6章 短期の経済変動
 6.1 均衡から乖離した労働市場
 6.2 経済を均衡から乖離させる力
 6.3 総需要と支出バランス
 6.4 所得と支出の関係
第7章 IS-LMモデル
 7.1 投資と利子率
 7.2 純輸出と利子率
 7.3 IS曲線とLM曲線
 7.4 IS-LMモデルによる政策分析
 7.5 総需要曲線の導出
第8章 モデルの全体系
 8.1 価格の硬直性と短期の生産と失業
 8.2 価格調整
 8.3 総需要と価格調整
第9章 マクロ経済政策入門
 9.1 経済に対するショックと攪乱
 9.2 総需要ショックへの対応:安定化政策
 9.3 価格ショックへの対応
 9.4 ルールとしての金融政策
 9.5 ディスインフレーション
 9.6 金融政策と財政政策
 第Ⅱ部 総需要のミクロ的基礎
第10章 消費需要
 10.1 GNP、消費および所得の変動
 10.2 単純なケインジアン型消費関数の欠点
 10.3 消費の先読み理論
 10.4 先読み理論はどれだけ現実を説明できるか
 10.5 実質利子率、消費および貯蓄
 10.6 消費とIS曲線 
 補論 日本の貯蓄率が米国より高いのはなぜか
第11章 投資需要
 11.1 投資支出の変動
 11.2 企業は投資決定をどう見ているか
 11.3 投資関数
 11.4 租税と投資
 11.5 住宅投資
 11.6 在庫投資
 11.7 投資関数とIS曲線
 補論トービンのqと資本のレンタル価格
第12章 外国貿易と為替レート
 12.1 外国貿易と総需要
 12.2 為替レート
 12.3 純輸出の決定要因
 12.4 為替レートと利子率
 12.5 開放経済におけるIS曲線と経済政策
 12.6 為替レートと価格水準
 12.7 保護主義対自由貿易
 12.8 為替レートの安定化
 補論 合理的期待形成下の利子率と為替レート
第13章 財政赤字と総需要
 13.1 政府会計
 13.2 財政赤字の変動:政府支出、移転、租税
 13.3 財政赤字の効果――米国の場合
 13.4 政府とIS曲線
第14章 金融システム
 14.1 金融システムの構成要素
 14.2 貨幣供給:通貨当局によるコントロール
 14.3 貨幣需要:現金および要求払い預金
 14.4 LM曲線と通貨当局の政策ルール
 14.5 金融政策ルールと財政政策の効果
 14.6 ISおよびLM曲線に対するショック
 14.7 金融政策の効果における遅れ
 第Ⅲ部 産出量の決定と価格調整のミクロ的基礎
第15章 労働市場と価格伸縮的な循環理論
 15.1 労働供給
 15.2 労働需要
 15.3 実質利子率が労働供給に影響するモデル
 15.4 不完全情報:誤信モデル
第16章 価格、賃金が硬直的な場合の企業と労働市場
 16.1 実質賃金と価格の硬直性
 16.2 名目賃金と価格の硬直性
 16.3 米国経済における賃金決定
 16.4 非同時的賃金設定の簡単な例
 16.5 まとめと評価
第17章 マクロ動学と価格調整
 17.1 全体としての賃金・価格プロセス
 17.2 価格調整モデルの係数の変化
 17.3 期待インフレ・モデル
 17.4 価格調整とマクロ動学
 17.5 米国、ドイツおよび英国におけるインフレ――産出量のらせん(Inflation-Output Loops)
 第Ⅳ部 マクロ経済政策
第18章 有効なマクロ政策のデザインと管理
 18.1 マクロ経済分析の一般原理
 18.2 手段と目標
 18.3 不確実性とタイミングの問題
 18.4 完全雇用と物価安定の便益
 18.5 インフレ損失と失業損失との間の政策フロンティア
 18.6 価格ショックに対処する最適政策
 18.7 政策フロンティアを変える
第19章 世界経済
 19.1 国際金融システム
 19.2 国際金融システムの歴史
 19.3 マクロ経済政策、為替レートおよびインフレーション
 19.4 マクロ政策の国際協調
 19.5 通貨同盟
索引

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著者

R.E.ホール、J.B.テーラー 著 森口親司 監訳

森口親司(もりぐち ちかし)
帝塚山大学経済学部教授

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