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書籍のご案内

城戸幡太郎と日本の障害者教育科学
―障害児教育における「近代化」と「現代化」の歴史的位相  
高橋智、清水寛 著
A5判・上製・720頁
(本体9,000円+税)
ISBN 4-8115-4891-4
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内容概略
 現代日本の障害児教育のパラダイムは、ノーマライゼーション・インテグレーション・インクルージョンなどの国際的潮流のもと、その児童観、発達観、理念・目的、権利、システム、環境、教育内容、指導過程などにおいて、「分離・二元化」(特殊教育の近代化)から、「統合・一元化」(障害児教育の現代化)へと移行しつつあり、また通常教育との連携・協同などの側面でも修正・改革を求められている。
 本書は「特殊教育の近代化」から「障害児教育の現代化」の歴史的位相の端緒を切り拓いた要因として、1930年代の城戸幡太郎と教育科学研究運動の障害児教育理論を取り上げて検討し、さらに戦後史における城戸理論の継承・深化の分析を通して、21世紀を展望した障害児教育の改革課題や特別なニーズ教育のあり方にも言及した、問題提起に満ちた斬新な歴史理論書である。

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目次

第一部 城戸幡太郎の教育科学と障害児教育理論の研究
  序 章 研究の課題と方法
   第一篇 一九三〇年代の「特殊教育の近代化」徹底の理論、実践と運動
  第一章 科学的な児童観と発達観の創造-伝統的児童研究批判と児童学・発育論争
  第二章 子どもの心理と発達研究の「現代化」-児童学研究会(第二期)と児童学構想
  第三章 障害論と「精神薄弱」概念-「知能」から「生活能力」へのパースペクティヴ
  第四章 「精神薄弱」児教育保護の理念と目的
       -城戸幡太郎の民主教育論における「近代化」と「現代化」の視点
  第五章 「精神薄弱」児教育保護の制度論
       -城戸幡太郎の「近代化」制度構想と改革運動
  第六章 「精神薄弱」児教育保護の実践論
       -小金井学園の経営、実践と「生活協同体学校」構想
   第二篇 戦後における「近代化」構想の継承と「障害児教育の現代化」の課題
  第七章 憲法・教育基本法の制定と障害児の「教育の機会均等」
       -戦後出発時の「近代化」水準
  第八章 城戸幡太郎と戦後占領期の障害児の教育福祉改革
       -一九三〇年代の「近代化」制度構想の連続性
  第九章 教育制度検討委員会の障害者教育改革構想と城戸幡太郎
       -「近代化」の徹底と「現代化」への課題提起
  第十章 戦後障害児教育における「近代化」と「現代化」の歴史的位相
       -障害児の教育権・学習権論を中心に
 終 章 全体的考察-総括と評価

第二部 証言・城戸幡太郎
  第一篇 戦前の障害児の教育研究と運動
  第二篇 戦後の障害児の教育研究と運動

第三部 解 説 と 資 料
  第一篇 重要な関連事項、学校・施設、団体・人名の解説
  第二篇 城戸幡太郎著作文献目録

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著者

高橋智、清水寛 著

東京学芸大学教育学部助教授 高橋 智
埼玉大学教育学部教授 清水 寛

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