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地方産業の展開と地域編成
  
齋藤康彦 著
A5判・上製・288頁
(本体6,300円+税)
ISBN 4-8115-4921-X
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内容概略
 本書は、近代日本の主要産業であった蚕糸業と織物業が広範に展開していた山梨県の産業発達の史的展開を跡付けるとともに、農業・工業・商業金融の総体的な把握によって地域構成の特質を析出し、更には地域産業の形成に多くの役割を果たした銀行・企業役員や豪商農層の検討を通じて、産業の近代化過程で地域社会がいかに変容したのかを提示する。
 山梨県の産業発展は、蚕糸業を機軸としたために基本的に奢侈品である生糸生産の規定性を脱却できず、生糸価格の激しい上下動はその都度製糸業と織物業を痛打し、更なる発展を阻むと同時に外的条件の変化による衝撃を大きくした事実を確認して、それが当該産業の内部に潜む経営規模の零細性と経営基盤の脆弱性に起因するメカニズムを解明した。
 ここから蚕糸業を牽引車として産業経済の目覚ましい進展がみられた山梨県で形成された蚕糸業に全面的に依存する「蚕糸モノカルチュア」と性格付けられる産業構造のもつ脆さという歴史的教訓を導き出した。

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目次

第一章 問題意識と課題の設定
第二章 地方産業の展開
 第一節 山梨県蚕糸業の長期動向(長期統計の作成と推計の手順、器械製糸業の生産動向、他)
 第二節 器械製糸業の実態(甲府市の製糸業の実態、他)
 第三節 郡内機業の生産動向(南都留・北都留郡の比較、織物工場の存在形態、他) 
第三章 産業構造・地域構成の形成
 第一節 産業金融構造の地域的特質(明治三〇年代中期の産業構造、資金存在の地域的特質、他)
 第二節 山梨県の工業構成の特質(業種別工場配置、他)
 第三節 農業生産の地域的特質(「農業類型」と「生産力水準」との相関、他) 
第四章 地域産業の形成と豪商農層
 第一節 銀行・企業役員層の態様(銀行・企業配置と役員層、経営参画と系列の形成、他)
 第二節 豪商農層の存在形態と家結合(地方資産家の存在形態、他)
 第三節 豪商農層の株式投資(株式投資の状況、若尾一族の株式投資、他)
第五章 総括―結びにかえて―

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著者

齋藤康彦 著

山梨大学教育学部教授

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