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植民地台湾の高等女学校研究
  
山本禮子 著
A5判・上製・288頁
(本体5,800円+税)
ISBN 4-8115-5251-2
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内容概略
 日本が1895年から半世紀にわたって植民地として領有した台湾における女子中等教育の歩みとその果たした役割、問題を明らかにしたものである。特に教育行政における法改正に伴う制度上の変容のみならず、高等女学校に在籍した人々へのアンケート・インタビュー調査をもとに教育の功罪を追求した。
 台湾の女子中等教育は、初等学校教員養成に端を発し役割を果たし続けた。同時に女性のアイデンティティの確立をもたらしたことは、台湾人女性の英知の現れである。植民地時代の多くのマイナスを転換し、今日の台湾の繁栄をもたらした女性の逞しさに敬服する。最後に、皇民化教育を強要される中で学校存続のために抵抗し、かつ転向を余儀なくされたミッションスクールの実態に言及する。日本人の善意が蠢く中で、大局的に見れば日本の帝国主義に迎合した実態を直視せざるをえない。この歴史に学び、21世紀に向けての真の民族の共生の道を模索するよすがとしたい。

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目次

序 論
Ⅰ 日本統治下における女子中等教育の制度的沿革
  1 日本統治前の教育/ 2 第一期 台湾総督府国語学校時代
  3 第二期 台湾教育令期/ 4 第三期 改正台湾教育令期
  5 第四期 中等学校令期
Ⅱ 女子高等普通学校・普通女学校の歩み
  1 学校の設立、生徒の修学状況/
  2 台湾人の女子教育を担った高等女学校-台湾第三高等女学校を中心に
  3 日本人子女のために創立した高等女学校-台湾第一高等女学校を中心に
  4 高等女学校 の終焉と日本人の声
Ⅲ アンケート調査に見る高等女学校の生活
  1 調査の概要/ 2 調査結果
  3 台湾の高等女学校に在学した日本人女学生の声
  4  結語・台湾女学校生活の意味
Ⅳ インタビュー調査から見た女学生生活とその後の生き方
  1 高等女学校の生活/ 2 戦時下を自覚的に生きた女性
  3 日本に想いを寄せつつ生きる 女性/ 4 社会的に活躍する女性たち
Ⅴ 1930,40年代におけるキリスト教主義学校の相剋
  1 問題の所在/ 2 台湾におけるキリスト教の伝播
  3 台南・長老教中学校の対応/ 4  淡水中学校をめぐる紛糾
  5 静修女学校にみる校長の更迭/ 6 戦時下における長栄高等女学校の対応
  7 結語

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著者

山本禮子 著

山本禮子(やまもと れいこ)

1929年 東京生まれ
1951年 東京女子師範学校理科化学専攻卒業
1953年 お茶の水女子大学文教育学部教育学科卒業
1955年 同学 専攻科の過程を修了
    和洋女子大学勤務、講師、助教授を経て
1974年より、和洋女子大学教授、ジェンダー研究センター研究協力員
著 作:
  『高等女学校資料集成』(大空社、1990年)
  『高等女学校の研究』(共著、大空社、1990年)
  『近代日本のキリスト教と女性たち』(共著、新教出版社、1995年)

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