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書籍のご案内

ギリシア古代の土地事情
  
伊藤正 著
A5判・上製・452頁
(本体6,600円+税)
ISBN 4-8115-5261-X
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内容概略
 本書は、古代ギリシア・ポリス社会の社会経済史的考察をその内容とし、ポリス社会の盛衰の問題を土地制度の観点から究明することをその目的とする。
 その際著者は、ポリス社会の本質的特徴として「分割地」と「共有地」の並立的存在という土地制度上の構造にまず着目する。そしてこの構造がいつ、どのようにして成立したのか、また、この構造はいつ頃そのバランスを逸することになるのかを明らかにすることによって、ポリス社会の盛衰の問題に、ある一定の回答を引き出すことが出来るのではないか、と考えている。したがって本書は、特にこれらの点を実証的に考察する一つの試みである。
 村川堅太郎先生以来の我が国における古代ギリシア社会経済史研究の学風を継承し、マックス・ウェーバーの学説に回帰する、既発表論文9編に新たに書き下ろした9編を加えた著者の集成的な論文集。

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目次

序章 κληροζに対する共同体的規制について
  補章1 プルタルコス『テミストクレス伝』第18章8節をめぐる諸問題―土地譲渡可能か否かの観点から―
  補章2 イッサ碑文について
第1部 ソロンと土地
  第1章 ソロン、土地、収公―ソロンの詩篇の分析を中心として―
  第2章 ソロンの詩篇におけるπολυδενδρεοζの意味
  第3章 ソロンおよびペイシストラトスの土地政策
  補章3 土地の再分配について―Solon F34 (West) をめぐる諸問題―
  補章4 二つの書評―Oliva P.と Anhalt E.K.の近業を中心に―
  補章5 ソロンの詩篇の翻訳の試み
第2部 土地と財政
  第4章 古典期アテナイの公有地賃借人―その社会的地位について―
  第5章 ヘカトステー碑文再考―売却か賃貸借か―
  第6章 前4世紀後半アテナイにおける土地と財政
  補章6 再びヘカトステー碑文―Rosivach 説について―
第3部 公有地私的蚕食
  第7章 神殿領私的蚕食の実態―ヘラクレイア碑文の分析を中心として―
  第8章 公有地私的蚕食の実態―ゼレイアの場合―
  第9章 アテナイその他のポリスにみられる公有地私的蚕食について
  おわりに―結論
あとがき、引用文献一覧、略号表、索引(史料、研究者)

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著者

伊藤正 著

伊藤 正(いとう ただし)

1953年生まれ。専門は古代ギリシア史。
現在、鹿児島大学教育学部助教授。
主な論文に、
  「ヴェルイーナ第二墳墓と被葬者の問題」(『史学雑誌』 第94編第4号、1985)、
  「ラトリエス、テーテス、ヘクテーモロイ」(『西洋古典学研究』35、1987)等。

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