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新特別学級史研究
―特別学級の成立・展開過程とその実態  
戸崎敬子 著
A5判・上製・360頁
(本体6,700円+税)
ISBN 4-8115-5571-6
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内容概略
 本書は、わが国における「特別学級」(学業成績不良次、「精神薄弱児」等)の成立・展開過程とそれら学級の実態を、明治期から昭和戦前期をとおして明らかにしたわが国最初の研究として位置付けられる。特に、明治期、大正期における特別学級の実態とともに、これまで未解明であった昭和戦前期の特別学級の実態と学級の性格が明らかにされている。また、都市部、地方の特別学級の事例に加えて、日本の植民地であった旧「満州」日本人学校の特別学級の事例が検討されている。さらに、特別学級を通常の学級との関わりで捉えていること、実地調査に基づいた学籍簿、学校沿革誌、関係者の証言などをもとに、特別学級の子どもの実態を明らかにしていることなどが本書の特徴である。
 現在、わが国の障害児教育制度のあり方や、そこにおける「特殊学級」の理念・性格・役割や機能について根本的な問い直しの必要性が指摘されているなかで、本書は、そうした問題への基本的な視点を提起している。

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目次

序章 本研究の課題と方法
  第一節 問題の所在/
  第二節 本研究の課題と方法
第一章 明治期における「劣等児」「低能児」の特別学級の成立
  第一節 義務教育の展開と特別学級の展開/
  第二節 特別学級に関する文部省の施策/
  第三節 特別学級の実態/第四節 本章のまとめ
第二章 大正期における特別学級の展開
  第一節 新しい条件の台頭と特別学級の展開/
  第二節 特別学級に関する文部省の施策/
  第三節 文部省調査『全国特殊教育状況』の再調査にみる特別学級の全国的動向/
  第四節 大正期における原級留置の実態と特別学級の成立-新潟県U小学校の事例を中心に/
  第五節 知能測定法標準化の取組と特別学級-大阪市の事例を中心に/
  第六節 地方小学校における特別学級の展開と教師の役割-愛媛県松前小学校の事例を中心に/
  第七節 旧「満州」日本人学校における特別学級の実態-大連松林小学校と大石橋小学校の事例を中心に/
  第八節 本章のまとめ
第三章 昭和戦前期における特別学級の展開
  第一節 戦時体制の進行と特別学級の展開/
  第二節 特別学級に関する文部省の施策/
  第三節 大正・昭和初期における能力観の変化と特別学級の展開-和歌山県南部小学校の「能力別学級編成」劣組の事例を中心に/
  第四節 昭和戦前期における「精神薄弱児」特別学級の実態-東京高等師範学校附属小学校第五部(「補助学級」)の児童の実態と教育実践/
  第五節 旧「満州」日本人学校における特別学級の実態-満州教育専門学校附属小学校(奉天千代田小学校)の事例を中心に/
  第六節 本章のまとめ
終 章 本研究の結論と残された課題
  第一節 本研究の結論/
  第二節 統合への視座/
  第三節 残された課題

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著者

戸崎敬子 著

戸崎敬子(とざき のりこ)

茨城県出身
東京教育大学教育学部特殊教育学科卒業
同大学院教育学研究科修士課程修了
教育学博士
現在、高知大学名誉教授
著 書 『特別学級史研究』(多賀出版、1993年)
    『重複障害児の教育』(共著、青木書店、1984年)

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