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社会的相互交渉と子どもの人格発達
  
田島信元 著
A5判・上製・272頁
(本体6,100円+税)
ISBN 4-8115-5641-0
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内容概略
 本書は、子どもの人格発達に影響を及ぼす社会文化的な環境要因、とりわけその代表的な存在といわれる母子関係をはじめとするさまざまな対人関係(社会的相互交渉過程)の構造的、機能的な側面を実証的に吟味することで、それらの発達への影響過程のメカニズムを明らかにしたものである。
 まず、乳幼児期における子どもの発達に親の養育態度や行動がどのような影響を与えるのかを、中、長期にわたる縦断的な相関分析法により明らかにした。次に、そうした大人―子ども相互交渉の発達への影響過程そのものを明らかにするために、相互交渉の変容過程を直接描写するマイクロジェネティック・アプローチを採用して、相互交渉の構造的、機能的側面を明らかにするプロセス・モデルを抽出した。さらに、そうした相互交渉が現実に子どもが活動し生活するなかでどのように展開しているかを吟味する社会文化的アプローチを採用することで、発達への影響過程を生態学的に明らかにした。
 以上のような研究を通して、発達研究における社会文化的アプローチの有用性を示すとともに、理論的にも方法論的にも、発達過程そのものを扱う研究体制の確立の必要性を提言している。

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目次

第1章 子どもの人格発達におよぼす社会的相互交渉の影響過程
  研究の展望と問題設定
 (認知的社会化研究・比較文化認知発達研究の展開、
  社会的相互交渉過程をとらえる視点の吟味、本書の問題意識と目的)
第2章 母子相互交渉と子どもの人格発達との関係に関する縦断的アプローチ
 (母子相互交渉と母性形成との関係、子どもの気質と母子関係の発達、
  母子関係・子どもの行動特徴と自己制御行動の発達)
第3章 社会的相互交渉過程に対するマイクロジェネティック・アプローチ
 (目的と構成、社会的対話モデルとしての母子関係の分析、
  社会的対話の個体発生的変容と一貫性、
  教師-生徒・教師-障害児・母親-障害児・留学生間相互交渉における社会的対話過程の比較)
第4章 社会的相互交渉過程に対する社会文化的アプローチからの展望
 (認識の社会構成過程へのマイクロメゾジェネティック・アプローチ、
  社会文化的アプローチからみたことばの使い分けの形成過程)
第5章 全体のまとめの考察
 (本書の目的と知見の要約、結論と展望)
補 論 日米におけるテレビコマーシャルの声

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著者

田島信元 著

田島信元(たじま のぶもと)

1946年 福岡生まれ
1971年 東京外国語大学外国語学部ロシア語学科卒業
1974年 東京大学大学院教育学研究科教育心理学専攻修士課程修了
1974年 北海道大学教育学部発達心理学講座助手
1984年 東京外国語大学外国語学部教職課程心理学研究室助教授
1992年 同教授
1997年 博士(人間科学)大阪大学
現 在 東京外国語大学外国語学部総合文化講座心理学研究室教授
著 書 『発達心理学入門』(共著、東京大学出版会、1990)
    『発達心理学ハンドブック』(共著、福村出版、1992)
    『家族のコミュニケーション』(共著、日本語学、1999)
    『育児とことばの発達心理学』(共著、ラボ教育センター、2000)

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