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書籍のご案内

産地の社会学
  
伊賀光屋 著
A5判・上製・640頁
(本体9,500円+税)
ISBN 4-8115-5711-5
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内容概略
 20年にわたる産地の実証的研究に基づき、フレキシブル・スペシャライゼイション論に代わるフレキシブル・インフォーマライゼイション理論を打ち立てた問題の書である。フレキシブル・スペシャライゼイション論では、産地の活力を「協同効果」や「範囲(特化)の経済」から説明している。本書は金属雑貨(燕産地)、機械(坂城・上田、大田などの産地)、ニット(五泉、江東などの産地)の諸産地を比較調査し、それらの産地の競争力の源泉が「インフォーマリティ」の活用や「時間の経済」の追求にあることを実証している。
 また、燕産地の職人・製造家などのライフコースと社会的分業体制のインテンシブな調査から、「産地構造の再生産と生産」のモデルを提示している。これは、産地の盛衰を、(1)産地に生きる人々の実践感覚、(2)キャリアライン、および(3)生存戦略と、(4)産地の社会的分業体制との間の、「思い通りにならない結果」を媒介とした、半ば相互規定的な循環関係として説明するモデルである。そして、製造家らのとるK戦略が産地の再生産と衰退を、またr戦略が産地の生産と興隆を生む要因であることを論じている。R戦略をとるN-アントレプレナーシップは機械やニットの産地の経営者に多くみられ、彼らは「時間の経済」を追求している。しかし、金属雑貨産地では、N-アントレプレナーシップを示す経営者が少なく、彼らがインフォーマリティに頼りがちであることを明らかにしている。

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目次

第一部 産地研究の方法論
  第 一 章 産地研究の今日的意義
  第 二 章 産地研究の方法
第二部 産地の社会誌
  第 三 章 職人から工員へ:鎚起銅器製造業従事者の歴史的変遷
  第 四 章 職人家をめぐる家連合:玉川家の葬礼とその変容
  第 五 章 職人と製造家:鑢製造業従事者の社会的世界
  第 六 章 元請けと下請け:洋食器業者の社会的世界
  第 七 章 工場の物語:燕物産における企業型労働者の形成
第三部 産地の比較社会学
  第 八 章 産地とその類型
  第 九 章 産地におけるフレキシビリティとインフォーマリティ
  第 十 章 産地におけるアントレプレナーシップ
  第十一章 MRI化と熟練・労働組織
  第十二章 フレキシブル・インフォーマライゼイションと戦略的ネットワーク

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著者

伊賀光屋 著

伊賀光屋(いがみつや)

1948年 岡山県生まれ
1972年 東京学芸大学教育学部卒業
1976年 東京教育大学大学院文学研究科博士課程中退
現 在 新潟大学教育人間科学部教授 (社会学)
著書・論文
「燕市史民俗・社会・文化財編」(共著、燕市、1990年)
「世界システムにおけるインフォーマリゼイション」(社会学評論43-3、1992年)
「産地における生存戦略とインフォーマルな労働」(日本労働社会学会年報、1994年)
「産地における競争と共同」(地域社会学会年報、1995年)

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