本書を上梓しようと考えた動機は、ハロッド動学はミクロ理論的基礎を持つ理論体系であるという新しい学説史的解釈を提示し、さらにこの解釈に基づいたハロッド動学モデルを提示することによってハロッド動学の再評価と理論的研究の活性化を図りたいと考えたことにある。従って本書の第一の目的は、ハロッド動学が、動学的最適化理論によってミクロ的基礎付けがなされているという新しい解釈を提示することにある（第１部）。
　また本書の第二の目的は、ハロッド動学が、動学的最適化理論によってミクロ的基礎付けがなされているというこの新しい解釈に基づいたハロッド動学モデルを考案しモデル分析を行うことである（第２部）。（本書「序章」より）