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産業集積と経済発展
―収穫逓増下の地理的パターン形成  
松尾昌宏 著
A5判・上製・216頁
(本体2,800円+税)
ISBN 4-8115-6101-5
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内容概略
 本書のテーマは、経済発展現象を、分業によってもたらされる収穫逓増や技術革新によって引き起こされる、自己組織的な地理的集中パターンの形成問題として捉えることにある。
 第一に、分業による収穫逓増は、所得上昇を生み、市場拡大、雇用拡大、農村から都市への労働力流入を生む。こうした農工間の労働移動とそれに伴う都市集中、産業構造の変化が、国際間での相互作用を通じて発展パターンに与える影響を分析する。第2に、産業分化は外部経済効果による類似産業の集中を生み、内生的技術革新を生む。
 こうした資本財産業の集積パターン形成が、技術革新や産業発展の地理的な集中パターン形成に与える影響について考察する。

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目次

序 章 経済発展問題への新しいアププローチ
第Ⅰ部 農工間労働移動と経済発展
  第2章 都市化と経済発展――収穫逓増下における、
      国際間の発展の集中パターンの形成と、その変化のメカニズム
    はじめに/分業的発展観の系譜/農工間労働移動と国際競争力/
    経験上の証拠/アジア経済危機問題へのインプリケーション/結語
  第3章 発展水準の両極分解とその再収束過程のシミュレーション
    はじめに/理論モデル/初期条件の違いと発展の分岐、
    収束パターンの形成/後発国間の発展の排斥効果
  補論 コンピュータ・シミュレーションの手法
  第4章 経済発展過程における生産性成長と要素投入成長の役割
    はじめに/論争の過程/労働生産性成長と雇用成長――長期の「率」と短期の「量」/
    モデルに現れたパターンと現実のデータの対応関係/
    「量」の効果と「まぼろしのアジア経済」論/結論
第Ⅱ部 技術革新、資本財産業の集積と経済発展
  第5章 資本財産業の形成と技術革新
    はじめに/技術革新、移転論の現状/技術移転と能力形成果/
    技術革新における資本財産業の役割/Rosenberg仮説は妥当か?/結語
  第6章 技術ハブ形成のメカニズムと国際分業パターンの形成
    はじめに/後発国への技術移転/基盤技術産業の立地の現状/
    基盤技術産業の立地原理/規模=密度ルールの存在とアジア国際運分業の将来/結語
  第7章 経済の発展サイクルと工業化の国際波及のメカニズム
    はじめに/地域特化の経済、都市化の経済と産業立地/
    機械工業集積パターン形成の自己強化メカニズム/工業化の集中と分散/
    経済発展問題の本質――「密度とパターン形成」

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著者

松尾昌宏 著

松尾昌宏(まつお まさひろ)

1965年 京都市に生まれる
1988年 京都大学経済学部経済学科卒業
1995年 京都大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
    京都学園大学経済学部専任講師
1998年 経済学博士(京都大学)
現 在 京都学園大学経済学部助教授、経済発展論、国際経済学担当
2001年4月より桜美林大学国際学部助教授、経済開発論担当

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