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書籍のご案内

1920年代パリの文学
―「中心」と「周縁」のダイナミズム  
西村靖敬 著
A5判・上製・232頁
(本体4,700円+税)
ISBN 4-8115-5981-9
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内容概略
 フランスにおいて「狂乱の時代」と呼び習わされている1920年代。パリは、世界最大の文学・芸術の実験場となり、また世界の文学・芸術の「中心」の地位を確立することになる。アイルランド人のジェイムズ・ジョイスは、1920年代にパリに住みつき、『ユリシーズ』を完成させパリで出版し、合衆国からヘミングウェイやフィッツジェラルドたちが、中南米からグイラルデスやアストゥリアスらがやってきて、「新世界」の文学を世界に向けて発信したはじめたのもこの年代のパリにおいてであった。
 本書は、いくつかの事象を具体的に取り上げながら、この豊饒な「1920年代パリ」を、「中心」と「周縁」という二つのキーワードで読み解くことをねらいとする。そのことによって、「1920年代パリ」の文学的位相が重層的に解明されるであろう。

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目次

Ⅰ ヴァレリー・ラルボー――「中心」と「周縁」の仲介者
  ラルボー――典型的コスモポリタン/『A.O.バルナーブース全集』/
  ラルボーと「周縁」の地ラテンアメリカ/ラルオボーの「周縁」観/ラルボーの子ども観
Ⅱ ジェイムス・ジョイス――「周縁」からエグザイル
  パリに来るまでのジョイス/1920年パリのジョイス/ジョイスと「内的独白」
Ⅲ アーネスト・ヘミングウェイとミゲル・アンヘル・アストゥリアス――「周縁」に依拠するアメリカ作家
  ヘミングウェイと1920年代パリ/アストゥリアスと1920年代パリ
Ⅳ ダダ――「中心」と「周縁」を破棄するアヴァン・ギャルド
  ダダの国際性/パリ・ダダ/日本のダダ

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著者

西村靖敬 著

西村靖敬(にしむら やすのり)

1952年 神戸市生まれ
東京大学教養部卒業、
現在、千葉大学文学部教授、比較文学比較文化専攻
主要論文:
「祝祭の1920年代パリ」(倉智恒夫・前田彰一・水之江有一編『祭りのディスクール』多賀出版、1993年)
「『内的独白』の一つの系譜――デュジャルダン、シュニッツラー、森鴎外」(『人文研究』第25号、1996年)
「堀辰雄『菜穂子』とアンドレ・ジッドの三部作」(『比較文学』第40巻、1998年)

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