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現代貨幣論の構造
  
坂口明義 著
A5判・上製・288頁
(本体3,200円+税)
ISBN 4-8115-6111-2
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内容概略
 (われわれの関心は)貨幣がどのような性格をもった形象なのかを探ることにある。したがって、よくいわれるように「貨幣は物ではなく、社会関係である」という主張に異存はないけれども、われわれの関心はそのような主張を擁護することにあるのではない。関心があるのはむしろ、貨幣が「どのような」社会関係なのか、ということである。そこで「貨幣とは、貨幣が物であることを要求する社会関係である」という仮説をわれわれのは発想の起点にしたい。(中略)
 本書は、貨幣論を展開するための基礎研究であり、貨幣論の展開する上で有用だと思われる諸概念を先行研究から出来るだけ体系的な形で引き出すことを目的としている。本書が、取り上げた議論はいずれも、その都度具体的な経済問題を論じながら、貨幣という「問題」にこだわり、体系的な概念装置を提示しようとしている。われわれは、既存の議論との性急な同一視を避け、各議論に固有な体系性を引き出すことに努めた。(本書「序」より)

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目次

 序  本書の問題意識と構成
第1部 貨幣の本質と信認――マルクス・ジンメル・ケインズから現代へ
 第1章 交換と貨幣
  ――貨幣制度分析の基礎的概念を求めて
 第2章 通貨管理の根本問題
  ――S.H.フランケルのケインズ政策批判を中心に
 第3章 貨幣信認と現代通貨制度
  ――M.アグリエッタ・A.アルレアンらの最近の仕事について
第2部 貨幣の複数性,貨幣の再生産――レギュラシオン学派の貨幣論をめぐって
 第4章 貨幣の再生産というプロブレマティーク
  ――S.ドゥ・ブリュノフの理論モチーフを探る
 第5章 貨幣的インフレーション論の射程
  ――A.リピエッツの「北のインフレ・南のインフレ」論を中心に
 第6章 国家通貨体制の行方をめぐって
  ――M.アグリエッタ説とR.サンドレット説の比較検討
 補 論 国際通貨制度における編成原理と集団行為原理
  ――アグリエッタ/ドゥジ=フルニエによる定式化から――
第3部 貨幣経済の安定性条件――ベルリン学派のパラダイムを探る
 第7章 貨幣重視ケインズ主義の主要仮説
  ――H.リーゼによる代替理論の提示
 第8章 貨幣経済の安定性条件とは何か
  ――H.ヘルの所説に探る
 第9章 貨幣重視ケインズ主義理論による経済政策分析
  ――H.ヘルの「重商主義」論を中心に

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著者

坂口明義 著

坂口明義(さかぐち あきよし)

1959年 東京都に生まれる
1982年 横浜国立大学経済学部卒業
1988年 一橋大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学
現 在 東北学院大学経済学部助教授
専 攻 経済理論・金融論
訳 書 H.ヘル著『国際通貨の政治経済学』(1996年、多賀出版)

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