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書籍のご案内

学校評議会制度における政策決定
―現代アメリカ教育改革・シカゴの試み  
山下晃一 著
A5判・上製・296頁
(本体5,800円+税)
ISBN 4-8115-6221-6
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内容概略
 わが国の教育改革では「学校評議員」制度の導入など学校と地域の関係を深めることが期待されるとともに,多様で困難な教育課題に対して柔軟に対応できるよう「学校の自律性」を高めることも求められている。
 今後,日本の学校は従来に増して様々な「力」の影響を受けつつ各自に決定を下す「政策決定機関」としての性格を強めることが予想される。
 本書は,アメリカでの近年の教育改革を素材に,学校段階における政策決定の実態と特質を解明するものである。とりわけ,「学校評議会」制度の先駆的事例として著名なイリノイ州シカゴの公立学校改革を素材に,各学校がいかなる政策決定を行っているのか,その実像に迫ることを目指している。
 学校と地域の関係、特にNPOなど新たな動きが担う役割とは何か。学校はどう変わっていけるのか。こうした問いへの答えを模索する本書は,諸外国教育制度に関する事例研究であると同時に,わが国の教育改革の行方を評価する基礎的資料としても位置づけられるものである。

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目次

序 章 本研究の課題と対象および方法
第1章 シカゴ学校改革法(1988年)の成立
  改革法成立の背景/シカゴ学校改革法とその理論的基盤/シカゴ学校改革法をめぐる基本的論争点
第2章 シカゴ学校改革の展開
  学校改革の実施状況/学校改革の初期的課題/学校支援団体の動き
第3章 教育専門家と素人の関係―人事システムに着目して―
  校長の評価および任免/教師に対する人事/1988年法制下の素人と教育専門家の関係
第4章 校長・教師・素人の政策決定行動
  検討の方法/スプライ初等学校の事例/各アクターの行動スタイル
第5章 学校の「政策決定ネットワーク」と学校改善
  「政策決定ネットワーク」の内部構造/「政策決定ネットワーク」の対外構造
第6章 学校評議会制度と「公的討議」
  学校評議会における「公的討議」/「学校の定義」と教育活動/学校評議会制度の可能性
第7章 1995年における学校改革法改正―その過程と特質―
  1995年の法改正の背景/1995年法改正の内容、学校改革理事会と学校の関係
第8章 教育委員会の影響力と役割―学校の自律性を前提として―
  本章の課題と視座/学校干渉措置の影響/学校干渉措置の効果と課題
終 章 総括と今後の課題
  本研究の成果/「学校の自律性」概念の再検討/今後の研究上の課題
参考文献、索引、あとがき

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著者

山下晃一 著

山下晃一(やました こういち)

1970年 愛媛県生まれ
1993年 京都大学教育学部卒業
1998年 日本学術振興会特別研究員
2000年 京都大学大学院教育学研究科博士後期課程修了
    博士(教育学)
同 年 和歌山大学教育学部専任講師
主要論文:「シカゴ学校改革における学校評議会制度の意義」
     「アメリカの「校長リーダーシップ」をめぐる制度改革に関する一考察」

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