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書籍のご案内

クリシュナムルティ・スクールの民族誌的研究
  
武井敦史 著
A5判・上製・296頁
(本体7,600円+税)
ISBN 4-8115-6391-3
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内容概略
 急速に進む産業化への要求と、進歩とは相容れない伝統的世界観との両義性の中に立たされた現代インド。本書は、そうした今日のインド社会の中にあって、近代的な価値と伝統社会の価値との対立がとりわけ鮮明に顕れる中で生起し、独特の姿を形成していった、ひとつの学校のケーススタディである。クリシュナムルティ・スクールとは、現代インドの代表的思想家の一人であるJ.クリシュナムルティ(1895~1986)の実験学校として、インドを起点に生起した私立学校であるが、そこでは近代学校に特徴的な知の構造が自覚的に問題化され、通常の学校とは異なった実践が作り出されてきた。
 本書では南インド農村部のクリシュナムルティ・スクールの実態が、綿密なフィールドワークによって解明され、その独自性が「知の特質」の視点から明らかにされている。本書は類例のないインドの学校のエスノグラフィーであるのみならず、学校と「モダニティ」との関係のとらえ直しをも提起する意欲作である。

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目次

序 章 本研究の目的・方法・構成
  本研究のねらい/本研究の問題背景/研究の方法/研究の構成
第1章 J.クリシュナムルティとクリシュナムルティ・スクール
  J.クリシュナムルティへの研究関心/クリシュナムルティによる学校への影響構造/クリシュナムルティ・スクールについて
第2章 調査地域の社会構造と教育状況
  アンドラプラデーシュ州の初等教育の概況と州政策/テットゥの社会構造/村の経済と産業/村の生活と宗教/テットゥにおける児童の仕事の様態と学校教育
第3章 SVNの教育観
  SVNにおける教育観の形成と検討方法/SVNにおける教育観の構造/教育観の形成過程とライフヒストリー
第4章 SVNにおける生活と教育の実態
  SVNの設立過程/学校の成員と経済運営/SVNの一日/教育活動実態/規則と賞罰のシステム
第5章 SVNにおける価値の態様と知の構造
  本研究における「価値」/人間関係における価値の態様/自然・環境との相互行為における価値の態様/時間構造と動機づけにおける価値の態様/SVNにおける知の構造とその成立背景
終 章 本研究の展望の今後の課題
  本研究の示唆と学校論への展望/今後の課題

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著者

武井敦史 著

武井敦史(たけい あつし)
兵庫教育大学学校教育学部専任講師

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