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イギリスにおける「資格制度」の研究
柳田雅明 著
A5判・上製・384頁
(本体7,200円+税)
ISBN 4-8115-6771-4 C1037
大学等入試と職業資格とで共通枠組みを設定しつつ評価基準を作成・運用する改革がイギリスで始まって以来20年近くとなる。本書は,周到に設定された新たな切り口からその起源から現在まで見通して検討を進めている。そのことにより,従来の研究が,学歴と資格の弊害面ばかりを強調したため,もしくは両者を対置するまでに止まっているため,打ち破れなかった限界を超える成果に到達できた。
まず第1に,全体像把握が容易でないとされてきたイギリスにおける学習成果の認定方式を,明解に整理している。その射程は,職業能力開発から普通(教養)教育までを横断し,義務教育年限内から大学院・知的専門職,そして生涯にわたる学習までを貫いている。第2に,その整理に基づき,評価基準の設定は,中等教育水準では国内限定の「官製標準」になる方が,高等教育以上では国際的自由競争になる方が,理にかなっていることを論証している。第3に,関係情報の「標準化」が,学び手本位で円滑な学習を可能とすることを示しつつ,その現状と課題を考察している。具体的な検討対象は,経験学習の資格認定,学習支援ポートフォリオの継続活用化,およびキャリア・ガイダンス(進路指導)でのコンピュータ技術利用である。
以上の成果は,過去・現在の資格等が,社会の全体構造の中で個々にどう位置づきどう機能するのかも理解可能にしている。学歴偏重の問題を抱える日本にも示唆するところが大きい。
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第1章 問題意識と研究課題
第2章 先行研究の検討
第3章 イギリスにおける資格制度「標準化」に至るまでの経緯
第4章 職業資格における「標準化」――NVQ(全国職業資格)の開発普及を中心に
第5章 職業資格と普通学力資格の統合に関する問題―― 一般全国職業資格(GNVQ)を中心に
第6章 「全国資格枠組み」の成立と派生する問題
第7章 「全国資格枠組み」における「標準化」と相補う関係にある手法・技術
第8章 総括と今後の課題
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柳田雅明 著
柳田雅明(やなぎだ まさあき)
青山学院大学文学部教育学科専任教員
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