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書籍のご案内

一般理論―第二版
―もしケインズが今日生きていたら  
ハーコート・リーアック 編 小山庄三 訳
菊判・上製・976頁
(本体18,000円+税)
ISBN 4-8115-7031-6  C1033
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内容概略
「本書が企画されるに至った経緯については、編者の手になる序の中で詳しく述べられているので多言は控えるが、未完成の交響曲が後の作曲家によって完全な曲に完成された例に倣い、『一般理論』発刊60周年に合わせて、もしケインズが1940年代後半まで生存していたならば、『一般理論』をどのように書き直し完全なものにしたであろうかを問題意識として、いわば『一般理論』第二版の内容とするにふさわしい関連論文の執筆を世界のケインズ学者に依頼し、集まった39本の論文を編集したものである。第1巻には、『一般理論』第一版の各章に対応して書かれた論文を集め、第2巻には、『一般理論』全体を概観したもの、『一般理論』の方法論を取り扱ったもの、ケインズと、マルクスやシュンペーターやカレツキとの各関係を論じたものなど、『一般理論』の各章のテーマからはみ出した論文を集めている。いずれの論文もケインズ学者の蘊蓄を傾けたもので、本書全体が、ケインズ一般理論再構築の一つの試みとなっているのみならず、20世紀中における(厳密には1995年頃までであるが)同理論研究の総括ともなっているといえる。」 (本書「訳者あとがき」より)

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目次

『一般理論―第二版』の日本語訳の公刊に寄せて(宇沢弘文)
日本語版への序(G.C.ハーコート&P.A.リーアック)
序(G.C.ハーコート&P.A.リーアック)
  <第1巻>
 第1編 序論
1『一般理論』と古典派理論の関係―『一般理論』「第二版」の冒頭の諸章(J.F.ブロスウェル)
2『一般理論』第二章の書き直しについて―ケインズの、非自発的失業の概念(ウィリアム・ダリティ・ジュニア&ウォレン・ヤング)
3 有効需要再訪(ロバート・W・クラウアー)
4 イエス ミセス・ロビンソン 『一般理論』と不完全競争(ロビン・マリス)
5 不完全競争とケインズ(ニーナ・シャピロ)
6 有効需要の原理(ルイジ・L・パシネッティ)
 第2編 定義と単位
7 単位と定義(ワイリー・ブラッドフォード&G.C.ハーコート)
8 使用者費用(クリストファー・トール)
 第3編 消費性向
9 消費性向と乗数(ジム・トーマス)  
10 ケインズと動学(R.M.グッドウィン)    
11 乗数と金融(ウィクトリア・チック)
 第4編 投資誘因
12 資本の限界効率と投資(ロバート・アイスナー)
13 投資の限界効率(ルイジ・L・パシネッティ)
14 ケインズ『一般理論』に合理的期待の考え方は存在するか(ケヴィン・D・フーヴァー)
15 最近のケインジアン・モデルにおける期待と不確実性(ピーター・ハウィット)
16 価値理論、期待および『一般理論』の第一七章(J.A.クレーゲル)
17 自己利子率と、それが不完全雇用均衡点の存在に対してもつ意味(インゴ・バレンス&ヴォルカー・キャスパリ)
18 ケインズの貨幣的価値の理論と現代の銀行業(コリン・ロジャーズ&T.K.ライムズ)
19 『一般理論』における貨幣的長期不完全雇用均衡の存在(コリン・ロジャーズ)
20 利子率の古典派理論(M.S.ローラー)
 第5編および第6編 貨幣賃金と物価、および一般理論の示唆する若干の覚書
21 ケインズの景気循環理論(マーク・ジャルスリック)
22 ケインズ後の世界における景気循環と社会哲学に関する覚書(ジョン・コーンウォール)
23 過少消費(J.E.キング)
24 ケインズの「結論的覚書」(ロバート・スキデルスキー)
  <第2巻>
 第1部 概観、拡張、方法論、および新しい展開
25 『一般理論』概観(ジェームズ・トービン)
26 インフレの意味の変化(ブライアン・レダウェー)
27 インフレ問題(A.J.ブラウン)
28 内生的貨幣(シェイラ・C・ダウ)
29 ケインズの金融理論とそのマクロ経済学的意味(マイロン・J・ゴードン)
30 開放経済の文脈における『一般理論』(ポール・デヴィッドソン)
31 ケインズと形式主義(ロッド・オドンネル)
32 ケインズの『一般理論』における方法と方法論(ビル・ジェラード)
33 歴史と慣行についてのJ・M・ケインズの見解(ジョン・B・デーヴィス)
34 ケインズの方法論(ヨッケン・ルンデ)
35 ケインズ、あいまいな概念、およびファジー論理(ジョン・コーツ)
 第2部 ケインズとその他の人々
36 ケインズとマルクス(クラウディオ・サルドーニ)
37 ケインズ、シュンペーターを超えて 一つの非還元主義的見解(アレッサンドロ・ヴェルセリ)
38 ケインズ、カレツキ、および『一般理論』(ピーター・クライスラー)
39 レィヨンフーヴッドのケインズの経済学について(ブルース・リツルボーイ)
訳者あとがき
参考文献
人名・事項索引

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著者

ハーコート・リーアック 編 小山庄三 訳

小山庄三(こやま しょうぞう)
富国生命ビル株式会社顧問
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研究会開催のお知らせ

 訳者(小山庄三)は、ケインズ一般理論の置かれている現状に鑑み、同理論の、若い人たちによる継続的研究が必要であることを痛感している。そこで、もし或る程度の数の参加希望者が集まるのなら、下記要領の研究会を開設したいと考えている。参加資格者は、各大学で経済学を専攻する院生に限定し、また会場の立地(都心を考えている)から参加は地理的にも限られるが、これに該当する方で研究会に参加を希望される方は、所定の事項(氏名・住所・年齢・連絡先〈電話番号・メールアドレス〉・所属大学・専攻テーマ・指導教官名)等を記載の上、多賀出版「ケインズ『一般理論―第二版』出版部までメールを送信して下さい。(FAXでの送信も可)


1.名 称
      ケインズ一般理論研究会(会長 宇沢弘文/事務局 小山庄三)
2.日時・場所
      月一回土曜日午後2時~6時(初回は年度内開催の予定)
      都心に立地する会場を予定
3.参加者資格
      原則として各大学経済学研究科に所属する院生
4.運営方式
      各回本書各一章宛の輪読方式。参加者は持ち回りで、その担当する章の関連論
      文も読むなど事前に十分な準備をした上で、研究会の席上その章の概要説明と
      問題提起を行ない、後は参加者の自由討論とする。
5.コーディネーター
      自由討論が拡散しないよう各回ごとにそのテーマに相応しい専門の学者に、
      コーディネーターとして同席をお願いする。そのアレンジは事務局で行なう。

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