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教員の処分と手続制度
―アメリカ合衆国の教員解雇における手続保障の法制度に関する研究
入江彰 著
A5判・上製・352頁
(本体6,200円+税)
ISBN 4-8115-6991-1 C1037
著者は長年にわたって手続に関心をもち、手続に関する制度上の諸問題を研究してきた。手続にこだわってきた理由は、自分の考えは正しいと考える意見の異なる者たちが、手続の中の論議で意見がひとつに集約されてひとつの決定が下され、それが正当化されるということに興味を感じたからである。手続の視座から見れば、教員処分における手続制度は、様々な手続制度のひとつである。
本著は日本の教員処分における課題を視野に入れながら、アメリカの教員処分に関する手続制度を研究したものである。また手続という視座が今なぜ必要なのかを、ルーマン、ロールズ、ハーバーマスの「手続論」を踏まえて論じた。アメリカ各州の法制度と法理論の枠組を形成する中心的な法は、憲法(その中でも特に連邦憲法のデュ-・プロセス条項)と教員テニュア法である。これらの法を分析し、教員処分における手続保障を規定する法制度と法理論の枠組をみた。教員処分における手続制度の構造は、自己矯正手続、通知、聴聞、上訴であり、この順序に従って手続が進行することになる。また、その構成要素と言えるものは、関係当事者の参加、実質的な討議の保障、判定者の公平性等である。アメリカの教員処分における手続保障の法制度と法理の考察から手続制度の必要性を明らかにし、そしてあるべき教員処分のための適正な手続制度を提示した。
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序章 課題と視座
1 課題の設定
2 視座の設定―手続論
第1章 アメリカの教員解雇における手続保障の法制度の理論枠組
1 はじめに
2 憲法のデュー・プロセス条項
3 連邦行政手続法(Federal Administrative Procedure Act)
4 教員テニュア法(the Teacher Tenure Act)
5 小括
第2章 憲法のデュー・プロセス理論の展開と教員解雇における手続保障
1 はじめに
2 特権理論(privilege doctrine)ないし権利-特権二分論("right-privilege" distinction)による教員解雇における手続保障の否定
3 利益衡量論(balancing of interests)による教員解雇における手続保障
4 Roth・Sindermann判決と教員解雇における手続保障
5 二段階審査理論と教員解雇における手続保障
第3章 教員テニュア法の法理と教員解雇における手続保障
1 はじめに
2 教員テニュア法の生成と展開
3 教員テニュア法の教員解雇における手続保障の構造と法理
4 小括
終章 教員の処分と手続制度の展望
1 教員解雇における手続保障の残された課題
2 教員の処分と手続制度の構想
註
参考文献
資料
あとがき
索引
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入江彰 著
入江彰(いりえ あきら)
滋賀県立瀬田高等学校教諭
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