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中国農家における公正と効率
  
辻井博・松田芳郎・浅見淳之 編著
A5判・上製・488頁
(本体11,000円+税)
ISBN 4-8115-7011-1  C1033
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内容概略
 激動する中国農業。激変する中国農家。本書は、中国農家経済における基本問題である「公正」と「効率」を解明するために、世界で初めて中国農家経済の大量のパネルデータを用いて分析が行われた共同研究の成果である。中国農業部農村経済研究センターの行ってきた2万戸におよぶ同一農家の1986年から現在に到る固定観察点調査結果の20%にあたるサブサンプルを、データのマッチング作業によってパネルデータとし、これを用いて中国農家の経済分析が行われた。第Ⅰ部では、固定観察点調査の統計上の意義が検討され、パネルデータ化の過程とデータマッチングの結果が紹介されている。第Ⅱ部では、所得分配、貧困、消費水準など農家の公正にかかわる問題に対し、パネルデータの利点を生かした手法によって分析が試みられている。第Ⅲ部では、経済効率、生産構造、農地市場、財務問題など農家の効率にかかわる問題が、やはりパネルデータの利点を生かした手法によって分析されている。大量のパネルデータを分析できるようになったことで、中国農業の農家レベルでの新知見が各章で呈示されている。

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目次

序論 中国農家経済のパネルデータ分析-所得分配と経済効率-(辻井)
 第Ⅰ部 ミクロデータによる中国農家経済分析の意義
第1章 固定観察点調査データの統計的意義(松田・宝剣)
第2章 固定観察点調査における20%抽出農家データのデータ・マッチング(宝剣・仙田)
第3章 個票を利用した中国農家調査研究の概要とその特徴 (宝剣・仙田)
第4章 固定観察点調査における村総合調査の概要(仙田・稲葉・桜井・宝剣)
第5章 固定観察点調査における企業調査の概要(白石・矢野・仙田)
 第Ⅱ部 中国農家の公正問題
第1章 改革開放期の農村所得分配変化におよぼす実質農家所得の影響の計量経済分析-中国農業部固定観察点調査データ(RCFPO)とそれからの20%サブ・サンプルをパネル化したMHTSデータを利用して-(辻井・矢倉・千田)
第2章 MHTSパネルデータによる農家経営と所得分配分析(宝剣)
第3章 農村住民の所得格差の源泉と村内・村間の格差(張)
第4章 中国農村における所得分配の村内・村間格差とその要因(小久保)
第5章 中国農村における貧困指標と貧困規定要因に関する考察-四川省パネルデータによる分析-(千田)
第6章 中国農家の消費構造の特徴-1995年から2000年までを対象として-
 第Ⅲ部 中国農家の効率問題
第1章 中国農家はそれぞれに個別の経済効率を持っているのか(浅見)
第2章 改革以降における家族経営の変化-MHTS(20%抽出)データによる1986~91年と1995~2000年の統計分析-(曹)
第3章 中国における農家の階層間移動の動向とその要因-一農村を対象にした数量分析-(大森)
第4章 中国農村における農地地代の決定要因に関するミクロ統計分析(仙田)
第5章 中国農家の資金調達・運用の特徴に関する農家経済分析(柴垣)
第6章 郷村企業民営化がもたらした企業パフォーマンス改善効果の測定(白石・矢野・仙田)
第7章 村レベル企業経営の財務分析(陳)
第8章 行政村における村集団経営と公共収支状況(武)
第9章 農村九年制義務教育のための公共支出と学費-経済発展の異なる地域での典型村における状況比較-(蒋) 
おわりに(浅見)
補論・資料(稲葉・宝剣・仙田)
 1. MHTSパネルデータの対象村の分布状況
 2. マッチング結果詳細表
 3. 20%抽出データの基本統計量

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著者

辻井博・松田芳郎・浅見淳之 編著

辻井博(つじい ひろし)
京都大学農学研究科教授

松田芳郎(まつだ よしろう)
東京国際大学教授

浅見淳之(あさみ あつゆき)
京都大学農学研究科助教授

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