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書籍のご案内

民主化以後の南コーカサス
―戦略的利益と民主主義理念の相克  
西村めぐみ 著
A5判・上製・208頁
(本体3,000円+税)
ISBN 4-8115-7061-8  C1031
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内容概略
本書は、グルジア、アルメニア、アゼルバイジャンから成る南コーカサス三か国の共産主義崩壊過程から民主体制への移行期における、国際コミュニティのこの地域への民主化支援を分析したものである。ロシア連邦のチェチェン共和国などの南部国境とNATOの加盟国であるトルコとの国境の中間に位置する南コーカサス諸国は、戦略的に重要であるが、従来、わが国にほとんど知られることのない地域であった。数年前にグルジアで、シュヴァルナゼ政権が倒されるという政変が起きたが、地域全体の民主化への道のりは、今なお遠いといわなければならない。本書は、2000年から2002年にかけて筆者が行った現地調査をもとに、なぜこの地域の民族紛争が解決出来ず、民主化が進まないのかという点を分析した。また国際コミュニティの民主化支援や、国際非政府組織(NGO)が、現地の民主化指導者にどのような影響を与えているのかという点も再検討した。本文中では、国際機関や先進国の外交官はもとより、分離独立を主張するアブハジアの実効支配勢力や、現地の市民社会の活動家の見解なども出来るだけ加えるようにした。今後、日本の国際支援が世界的規模で拡大せざるを得ない中で、本書は、権威主義体制からの移行期を経験した地域への援助のあり方の問題点を考察した一つの事例研究である。

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目次

  第Ⅰ部 理論的考察
第1章 国際コミュニティと民主化理論
 1. はじめに
 2. 事例研究としての南コーカサス
 3. 民主主義の定義
 4. 発展途上国の民主主義に関する理論的考察
 5. 資料について
  第Ⅱ部 事例研究
第2章 グルジア―民主的制度と実践の矛盾
 1. はじめに
 2. 民主的理念なき国家制度の構築
 3. アブハジア―急進主義の間牢
 4. 大衆―無関心、貧困と権威主義的国家
第3章 アルメニア―民族の大義と経済的現実
 1. はじめに
 2. ナゴルノ・カラバフをめぐる和平交渉―国際コミュニティと不寛容の政治
 3. 民族主義的社会の民主活動家と国際コミュニティ
第4章 アゼルバイジャン―民主活動家と国際コミュニティの道理
 1. はじめに
 2. 1994年以前―人民戦線の登場と衰退
 3. アリエフ時代―戦略的安定性の追求と民主的理念の相克
  第Ⅲ部 結論
第5章 南コーカサスへの民主化支援とその再検討
 1. 南コーカサスにおける民主主義の現状
 2. 戦略的安定の要請と民主化の理念
 3. 民主化支援と市場経済の導入
おわりに―9.11テロ後の世界と南コーカサス
謝辞
索引

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著者

西村めぐみ 著

西村めぐみ(にしむら めぐみ)
立命館大学法学部教授

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