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書籍のご案内

発達障害児教育実践史研究
―戦前の北海道における特別教育の成立と教育理念・目標・内容・方法  
市澤豊 著
A5判・上製・408頁
(本体6,800円+税)
ISBN 4-8115-7071-5  C1037
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内容概略
本書は、地方史の研究であり、しかも、学校における劣等児等の特別教育の事実を原資料とした教育実践史である。発達障害児等の特別教育に関する教育論や教授論等は、明治時代から21世紀の現代に至るまでに数限りなく顕現したが、「特別教育科学」として教育学的に体系化されているとは言い難い。その要因の一つには、特別教育における「教育実践研究」の在り方、特に実践研究手法にあると指摘出来る。
 本書は、その「教育実践」研究手法について、3つの接近により教育論と教育実践との統合をはかった。その一つは、特別教育に関して通常教育の特質と関係づけた教育実践史研究の手法である。二つ目は、戦前における教育史について教育実践史として論述する「教育実践史」研究手法である。三つ目は、学校教育実践現場における教育実践記録を教育実践学的な確度のある手法により分析・検討して論考した「教育実践」研究手法である。
 わが国が今後取り組む発達障害児等の特別教育は、その教育理念、教育目的・目標、教育形態、教育内容・方法等の教育学的原理・原則と教育実践モデルの構築が課題である。本書は、発達障害児等の特別教育に関する教育学的原理・原則と教育実践モデルの萌芽形態を示唆するものである。

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目次

刊行の序
序章 本研究の課題と方法
 1. 問題の所在
 2. 研究の意図と方法
第1章 戦前の初等通常教育にみる拓地殖民教育の特質
 1. 先行研究における「北海道初等教育の特質論」の検討
 2. 教育行政施策における「簡易主義」,「地方主義」
3. 教育内容・方法における「実利勧業主義」,「生活主義」
4. 学校所在地の「僻地性」と教育組織の「単級複式編制」
5. 初等教育思想と教育実践論の変遷
6. 北海道の初等通常教育の特質と劣等児等の教育
第2章 劣等児等の特別教育成立にかかわる教育行政問題
1. 就学督責と就学猶予・免除規定
 2. 就学猶予・免除の実態
 3. 特別学級興隆期の成立要因と北海道の特別教育
 4. 北海道の特別教育成立にかかわる教育行政の特質
第3章 劣等児等の教育に関する教育論
 1. 劣等児等の教育に関する教育論等の大要
 2. 劣等児等の教育理論及び教育研究理論の特質
第4章 劣等児等の特別教育の成立過程と教育実践
 1. 特別教育の成立と教育形態
 2. 劣等児等の特別教育実践事例
 3. 劣等児等の特別教育実践の特質
終章 発達障害児特別教育実践の意義
 1. 本研究の結果
 2. 現代発達障害児等の特別教育実践への視座
 3. 今後の課題
補稿 「劣等児等の教育に関する教育論文」の解題
参考・引用文献
あとがき

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著者

市澤豊 著

市澤豊(いちさわ ゆたか)
北海道浅井学園大学大学院人間福祉学研究科教授

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