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書籍のご案内

企業行動の動学モデル
―ミクロデータによる個別企業の市場価値の推定  
浜田文雅・青木茂男・千田亮吉 著
A5判・上製・240頁
(本体3,800円+税)
ISBN 4-8115-7091-X C1033
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内容概略
 本書は、個々の企業の市場価値およびそれを当該企業の発行株式数で割った値である理論株価がどのようにして決まると考えたらよいか、個別企業のミクロデータを利用して企業の市場価値を実際に推定する方法はあるかという研究テーマに取り組んだ結果をまとめたものである。このテーマについて、これまでは経済学的視点、企業分析論的視点からそれぞれ独立に研究が行われてきたが、本書は両分野の研究者による共同研究の成果である。分析対象はわが国製造業に属する代表的企業76社で、経済学的理論株価は個別企業の合理的な期待形成と動学的最適化行動に基づくモデルから推計された。
 また、企業分析論的理論株価は同じ76社についてDCFモデルと割引超過利益モデルに基づいて推計された。さらに、それぞれの理論株価と実際の株価との比較を通じて、提示されたモデルによる株価の説明がどこまで可能なのか、また、理論株価と実際の株価の乖離をもたらす要因は何なのかといった点について、二つの視点からの考察が行われている。

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目次

はじめに
第1章 本研究の枠組みと概要
 1. 企業行動を捉える経済学的視点
 2. 個別企業による市場環境の予測
3. 個別企業の生産技術の把握
4. 個別企業の生産物供給計画
5. 将来のキャッシュフローの予測と企業の市場価値の推定
第2章 経済学的視点からの個別企業行動モデル
1. 序論
 2. 個別企業の行動
 3. 企業価値の所有者
 4. 市場条件の将来予想
 5. 個別企業の動学的最適化行動の理論モデル
 6. 企業の動学的最適化:経営計画の策定と変分法に基づくオイラー方程式
 7. 産出量(実質付加価値額)、労働用役投入、資本用役投入の最適値の時間経路
 8. 将来のネット・キャッシュフローの予想時間経路と事前的市場価値の推定
 9. 経済学的理論株価とTobin's q,Hamada's f,gおよびh
第3章 モデルの具体的な構造と推定結果の分析
 1. 生産関数の推定手続き
 2. 生産関数の推定結果
 3. 個別企業の事前的な市場価値と理論株価の推定
 4. 理論株価と実際の株価の関係の分析:浜田のfと浜田のg
 補論 第3章で用いた各データの作成方法
第4章 企業分析論の視点からの株主価値と株価
 1. 財務データから推計した株主価値と株価
 2. 株主価値を支える収益性の検討
第5章 総括的結論
 要旨
 1. トービンのqと浜田のf:株式投資家の視点
 2. 内部調整コストと経済学的理論株価の関係
 3. 資本・労働の相対価格と経済学的理論株価の関係
 4. 割引率としての株主必要収益率と理論株価の関係
 5. 現状維持の株価と実際の株価とのギャップが意味するもの
 6. 経済学的理論株価と現状維持の理論株価の関係
 7. 経済学的理論株価と実際の株価との関係
 8. 企業分析論的理論株価と経済学的理論株価の相違点
 9. 企業分析論的理論株価と実際の株価との関係
10. 総括的結論
参考文献
あとがき
付図 経済モデルに基づく58社の主要変数の将来値、理論株価、浜田のf,浜田のg
索引

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著者

浜田文雅・青木茂男・千田亮吉 著

浜田文雅(はまだ ふみまさ)
東京国際大学経済学部教授(慶應義塾大学名誉教授)

青木茂男(あおき しげお)
青山学院大学大学院教授

千田亮吉(ちだ りょうきち)
明治大学商学部教授

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