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ジェヴォンズの経済学
  
S.ピアート著 石橋春男・関谷喜三郎・栗田善吉 訳
A5判・上製・256頁
(本体3,000円+税)
ISBN 4-8115-7111-8 C1033
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内容概略
「本書が明らかにしていることの第一は、科学としての経済学の形成を可能にした数理分析手法の導入と経済諸量の測定および定量化のための手法の確立にジェヴォンズが果たした役割にある。とくに、古典派経済学から新古典派経済学への移行過程において数理分析手法の導入をジェヴォンズがいかに重視していたかが強調されている。第二は、ジェヴォンズが経済活動を統計的に把握する必要性を強調する背景には、自然観察に関する深い関心があるという点にある。景気循環の発生要因を太陽黒点の変動と結びつける見方も、オーストラリアでの仕事の経験を基礎にした自然現象への関心がもとになっている。第三は、ジェヴォンズが経済分析を行なうに当たって経済活動の基礎にある人間の感情をどのように見ていたかを分析している点にある。効用価値説の展開も含めて、ジェヴォンズは経済活動の変動と人々の感情の変化の関連を重視している。さらに、ジェヴォンズの教育改善による社会改良の提言、社会的組織の構築についての提案といったことも人間観察と結びついて生み出されているといえる。」(本書「訳者あとがき」より)

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目次

第1章 序論― 一般的主題
  第Ⅰ部 マクロ経済学の関心事:成長と停滞
第2章 ジェヴォンズの経済成長論
 序論:初期の時代
 石炭問題
 人口成長
 社会的成長の法則 
 成長に対する希少性の制約
 因果のメカニズム
 実証分析と政策提言
 結論
 『石炭問題』とジェヴォンズの「手痛い失敗」
 『石炭問題』とエネルギー物理学
第3章 太陽黒点と期待―ジェヴォンズの経済変動論
 序論
 期待の役割に関する初期の認識
 変動についてのジェヴォンズの初期の分析
 ジェヴォンズの太陽黒点説
 経済政策と変動
 ジェヴォンズの太陽黒点説の批判的評価
 結論
  第Ⅱ部 ミクロ経済理論
第4章 ジェヴォンズの経済学:原点、領域と目的
 序論 
 ジェヴォンズの知的遺産:1871年と1879年の序文
 ジェヴォンズの数学理論に関する簡単な説明
 経済学の理論の領域と目的
 結論
第5章 ジェヴォンズの交換理論
 序論
 効用の法則
 交換の理論
 理論的意味合いと現実妥当性
 結論
第6章 生産
 序論
 不効用:労働理論
 「経済学の認知された学説」との関係
 地代の理論
 資本蓄積
 結論:利潤と賃金の関係
第7章 ジェヴォンズと功利主義
 序論
 ベンサム,J.S.ミルと効用
 ジェヴォンズのミル基準の否定
 経済政策の推定的指針
 ジェヴォンズのミルに対する負い目
 結論
  第Ⅲ部 経済政策
第8章 ジェヴォンズの政策分析
 序論
 政策分析の特定分野への応用
 課税について
 労働組合と協同組合
 教育について:異時点間の意思決定問題
 19世紀後半における効用測定の発展
 結論
  第Ⅳ部 方法論 
第9章 実証的方法論の登場―ジェヴォンズの経済学方法論
 序論
 因果関係と偶然について
 J.S.ミルの方法論
 ジェヴォンズの経済学方法論
 結論
第10章 ジェヴォンズの実証研究
 序論
 物価の変動
 貨幣制度の実情
 ダヴェナントの法則
 太陽黒点周期説
 ジェヴォンズの方法論に対する若干の反応
 結論
第11章 結論
訳者あとがき
参考文献

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著者

S.ピアート著 石橋春男・関谷喜三郎・栗田善吉 訳

石橋春男(いしばし はるお)
日本大学商学部教授(大東文化大学名誉教授)

関谷喜三郎(せきや きさぶろう)
日本大学商学部教授

栗田善吉(くりた ぜんきち)
(財)運輸調査局 調査研究センター主任研究員

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