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書籍のご案内

敵対的買収防衛策をめぐる法規制
  
矢崎淳司著
A5判・上製・304頁
(本体3,600円+税)
ISBN 978-4-8115-7281-9 C1032
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内容概略
 ニッポン放送の支配権をめぐるライブドアとフジテレビの争奪戦を契機に、最近では敵対的買収に対する社会的関心が高まっている。わが国では、これまであまりM&Aが行われてこなかったが、最近では経営戦略としてM&Aを積極的に活用する時代に突入しており、外資ファンドが仕掛ける敵対的買収だけでなく、国内企業同士での敵対的買収も行われるようになったことからすると、企業買収に関する法的インフラの整備が重要な課題であり、敵対的買収や買収防衛策の法規制について明確な基準を策定することが急務である。
 敵対的買収や買収防衛策に関する法制度は、M&A市場の動向や証券市場の成熟度等により左右されるため、わが国の諸事情を考慮した法制度の構築が必要になる。しかし、わが国はM&Aの経験が乏しいため、敵対的買収や買収防衛策の法規制を考察する際には、M&Aについて豊富な経験を有する欧米諸国の法制度を参考にしながら議論を進めていく必要がある。本書は、このような観点から、比較法的アプローチを通じてわが国における買収防衛策をめぐる法規制のあるべき方向性を考察することを目的としている。

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目次

はじめに
第一編 アメリカにおける敵対的買収防衛策をめぐる法規制
第一章 アメリカにおける企業買収規制の特色
 第一節 連邦および州による二元的規制
 第二節 連邦による規制
 第三節 州による規制
第二章 敵対的買収における取締役の行為規制
 第一節 問題の所在
 第二節 取締役の行為規制に関する基準
第三章 デラウェア州判例法の展開
 第一節 序説
 第二節 中間的基準の形成
  一 基本的な判断枠組み
  二 代表的判例
  三 若干の検討
 第三節 QVC事件判決およびテクニカラー事件判決の意義
  一 QVC事件判決
  二 テクニカラー事件判決
  三 統一的基準の模索
第四章 アメリカ法律協会『コーポレート・ガバナンスの原理』のルール
 第一節 序説
 第二節 支配取引における取締役および株主の役割
 第三節 敵対的な公開買付けを阻止する効果を有する取締役の行為
第五章 株主保護の観点からみた問題点
 第一節 序説
 第二節 株主の利益
 第三節 株主の利益と取締役の利益が衝突する場面
 第四節 株主の利益と株主でない者の利益が衝突する場面
第六章 ポイズンピルをめぐる規制
 第一節 序説
 第二節 アメリカにおけるポイズンピルの展開
  一 ポイズンピルの基本類型と機能
  二 ポイズンピルの有効性に関する法的基準
  三 デッドハンド・ポイズンピルの登場
 第三節 デッドハンド・ポイズンピルに関する判例
  一 ニューヨーク州
  二 ジョージア州
  三 デラウェア州
  四 ペンシルバニア州
 第四節 デッドハンド・ポイズンピルの方向性
  一 各州における判例の影響
  二 他の買収防衛策との関係
 第五節 ポイズンピルの実効性
  一 ポイズンピルに関する従来の実証研究に対する批判的検討
  二 シャドウピルの概念
  三 ポイズンピルの経済的効果に関する分析
  四 ポイズンピルを有する会社の特色に関する分析
  五 ポイズンピルとシャーク・リペラントとの関係
第二編 EUおよびイギリスにおける敵対的買収防衛策をめぐる法規制
第一章 EUにおける敵対的買収防衛策をめぐる法規制
 第一節 EUにおける企業買収規制の特色
  一 企業買収規制の多様性
  二 公開買付規制の統一化への模索
 第二節 企業買収指令
  一 採択されるまでの経緯
  二 一般原則
  三 買収防衛策の制限
 第三節 加盟国における企業買収指令の施行
第二章 イギリスにおける敵対的買収防衛策をめぐる法規制
 第一節 イギリスにおける企業買収規制の特色
  一 パネルによる規制と企業買収指令
  二 買収防衛策に関するシティコードの規定
  三 アメリカにおける買収防衛策との対比
 第二節 有事導入型の買収防衛策をめぐる規制
  一 取締役会による反対意見の表明
  二 ホワイトナイトの勧誘
  三 その他の買収防衛策
  四 買付けが競合する場合における取締役の義務
 第三節 平時導入型の買収防衛策をめぐる規制
  一 種類株式等の発行
  二 友好的な第三者に対する新株発行
  三 防衛的な自己株式取得
第三編 日本における敵対的買収防衛策をめぐる法規制
第一章 序説
第二章 平成一三年商法改正と買収防衛策
 第一節 序説
 第二節 平成一三年商法改正前から可能であった買収防衛策
 第三節 平成一三年商法改正により可能となった買収防衛策
第三章 買収防衛策に関する法理論
 第一節 第三者割当と主要目的ルール
  一 問題の所在
  二 学説
  三 判例
  四 主要目的ルールの意義と問題点
  五 主要目的ルールを修正するアプローチ
 第二節 ニッポン放送新株予約権発行差止仮処分申立事件
  一 事件の概要
  二 本件新株予約権発行の不公正発行該当性の検討
 第三節 ニレコ新株予約権発行差止仮処分申立事件
  一 事件の概要
  二 本件新株予約権発行の不公正発行該当性の検討
 第四節 日本技術開発株式分割差止仮処分申立事件
  一 事件の概要
  二 買収防衛策としての株式分割の意味
  三 本件株式分割の差止めの可否
第四章 企業価値報告書および買収防衛策に関する指針
 第一節 序説
 第二節 企業価値報告書
  一 企業価値基準
  二 買収防衛策の合理性を高め、市場から支持を得るための工夫
 第三節 企業価値報告書二〇〇六
 第四節 買収防衛策に関する指針
  一 企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則
  二 事前開示・株主意思の原則
  三 必要性・相当性確保の原則
第五章 買収防衛策をめぐる法規制のあり方
 第一節 序説
 第二節 基本的視点
  一 主要目的ルールの妥当性
  二 企業価値基準
  三 取締役の行為規制の観点の必要性
 第三節 私見
おわりに
あとがき
初出一覧

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著者

矢崎淳司著

矢崎淳司(やざき じゅんじ)
首都大学東京都市教養学部法学系教授

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