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ヴァイマル共和国初期のドイツ共産党
─中部ドイツでの1921年「3月行動」の研究  
篠塚敏生著
菊判・上製・816頁
(本体15,000円+税)
ISBN 978-4-8115-7371-7 C3022
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内容概略
本書は「ドイツ合同共産党」(VKPD)と「ドイツ共産主義労働者党」(KAPD)が1921年3月に中部ドイツで展開した「3月行動」を、旧「ドイツ民主共和国」の文書館史料を使って考察した我が国最初の研究書である。
第1部において「3月行動」はヴェルサイユ講和条約の軍事条項が履行される中で起こった事件であることを明らかにし、第2部では、VKPD中央部の議事録・1921年3月の党中央委員会議事録・『ローテ=ファーネ』その他の党機関紙を使って「3月行動」直前とその期間中の党内部の状況を詳述。1000人を超えるプロイセン州保安警察隊の進駐と、コミンテルン執行委員会議長ジノーヴィエフによって派遣されたクン=ベーラの動きが「3月行動」の勃発に非常に影響したことを明らかにした。第3部では「3月行動」後のVKPDの混乱状況を、党中央部の議事録、4月・5月・8月の党中央委員会議事録、イェーナ党大会の議事録、コミンテルン第3回大会議事録、SPDと「ドイツ独立社会民主党」(USPD)の機関紙などを使って詳述。「3月行動」後、党員数が半分近くに落ちたVKPD(そしてKAPD)は、コミンテルンにますます依存することになり、1923年秋にはその指導下に「10月事件」が勃発することになった。

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目次

はじめに
第1部 ヴェルサイユ講和条約と中部ドイツでの「3月行動」
 序
 1.ヴェルサイユ講和条約の実施
 2.治安警察の解散と保安警察の創設
 3.民間住民の武装解除
 4.自警団の解散問題
 5.「3月行動」鎮圧による武装解除行動の成果
 6.自警団の解散
 7.むすび
第2部 中部ドイツでの1921年「3月行動」
 序
第1章 クン=ベーラのドイツ到着前のVKPD
 1.世界とドイツの現状分析
 2.KAPD問題
 3.フレンスブルク事件と「公開書簡」
 4.イタリア問題
 5.ド・ソ同盟の問題
第2章 クン=ベーラのドイツ到着
 1.コミンテルン執行委員会総会
 2.クン=ベーラのドイツ到着
 3.1921年3月前半のVKPD
 4.KAPDとの協同
 5.ロイナ工場
第3章 プロイセン州政府の左翼対策
 1.VKPDハレ=メルゼブルク地区
 2.プロイセン州政府の対応
第4章 3月17日のVKPD中央委員会
 1.会議の招集
 2.会議の経過
 3.地区指導者たちとの会議
 4.3月18日の『ローテ=ファーネ』
第5章 「3月行動」の勃発
 1.警察隊の進入
 2.3月19日のVKPDハレ=メルゼブルク地区指導部
 3.マンスフェルトでのストライキの勃発
 4.ハンブルク
 5.3月23日の状況
第6章 戒厳令布告とゼネスト宣言
 1.戒厳令の布告 
 2.ゼネスト宣言
第7章 ゼネスト宣言後
 1.3月25日のVKPD中央部会議
 2.ザクセン県
 3.ベルリン
 4.ライン=ヴェストファーレン地方
 5.ハンブルク・ゲーストハハト事件
第8章 復活祭後
 1.ザクセン県
 2.ザクセン県周辺
 3.国防軍投入の問題
 4.非常裁判所の設置
 5.ベルリン
 6.ライン=ヴェストファーレン地方
第9章 ゼネスト中止へ
 1.VKPD中央部会議
 2.VKPD全国労働組合中央部会議(3月30日)
 3.4月1日のVKPD中央部会議
 4.VKPDとKAPDの共同会議(4月3日)
 5.全国での「3月行動」の展開状況
第10章 3月行動の結果
 1.参加者数
 2.犠牲者数
 3.逮捕
 4.拘留者家族の生活
 5.解雇
 6.失業者の生活
 7.行政での解任
第3部 その後
第1章 3月行動直後のVKPD
 1.4月のVKPD中央委員会
 2.パウル=レーヴィの除名
 3.地区党大会
 4.5月のVKPD中央委員会
 5.反対派の離党
第2章 コミンテルン第3回大会
 1.VKPD代表団
 2.コミンテルンの戦術をめぐっての対立
 3.コミンテルン第3回大会と「3月行動」
 4.コミンテルン大会の成果
第3章 VKPDイェーナ党大会
 1.8月のVKPD中央委員会
 2.コミンテルン指導者たちの手紙
 3.イェーナ党大会
第4章 フリースラントの失脚
 1.フリースラントとコミンテルンの衝突
 2.政治犯釈放の運動
 3.『フォアヴェルツ』の《暴露》
 4.KAGとの闘争
 5.反対派の行動
むすび

「3月行動」文献目録
人名索引
地名索引

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著者

篠塚敏生著

篠塚敏生(しのづか としお)
熊本学園大学社会福祉学部教授

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