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戦後初期における大学改革構想の研究
  
鳥居朋子著
A5判・上製・232頁
(本体4,200円+税)
ISBN 978-4-8115-7361-8 C1037
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内容概略
 高等教育機関としての大学の組織運営の自律性とは、どのような様式と方法で保証されるのだろうか? 本書は、今日の日本における大学の組織運営のあり方について示唆を得ることを目的に、高等教育分野の教育経営研究の視座から、大学をとりまく環境が激変した第二次世界大戦後初期の大学改革構想を考察したものである。個別大学や大学関係団体に残された議事録等を手がかりに、当時の大学が自律的な組織運営のシステムを構築するうえでいかなる問題に直面していたのかを実証的に解明している。
 具体的には、東京商科大学(現一橋大学)と東京工業大学に注目し、それぞれ大学の学長であった上原專祿(うえはらせんろく)と和田小六(わだころく)の大学改革構想および改革過程に注目している。実質的には旧制度を温存したとみられる新制大学の意思決定の枠組みにおいて、個別大学ではいかなる組織運営の改革が展開されていたのか?
 本書では、戦後初期の史資料に基づき、これまで明らかにされていなかった東京商科大学における改革構想およびその実行に際して生じていた葛藤や、東京工業大学における機動的な組織再編や合意形成の実態に接近している。特に、上原と和田の改革理念やリーダーシップに関する検討は、今日の大学組織運営における学長の主導性のあり方を追求するうえで有効な視点を提示するものである。

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目次

序章 本書の目的と基本的視座
  1.問題の所在および課題意識
  2.本書の着想にかかわる先行研究の検討
  3.本書の課題および構成
Ⅰ部 戦後初期における大学の自治機構改革をめぐる関係団体とその議論
1章 戦後初期の大学政策形成の情勢
  1.旧制度の大学管理制度および自治機構
  2.第一次米国対日教育使節団の報告書における高等教育理念
  3.占領下における大学政策形成をめぐる関係団体
2章 戦後初期の大学基準協会における大学自治運営方式の構想
  1.「国立大学の一部地方委譲案」を動因とする議論
  2.機関の具体的な自治運営方式に関する議論
  3.「折衷方式」案をめぐる大学関係者の反応
  4.「折衷方式」案に基づく議論の深化
  小括
Ⅱ部 戦後初期における大学の組織運営改革の実態-東京商科大学および東京工業大学の改革構想と取り組み-
3章 戦後初期における東京商科大学の組織再編
  1.戦前の東京商科大学における組織構造と教育理念
  2.戦後の東京商科大学における組織運営改革の始動
  3.「上原構想」に則した東京商科大学の改革過程
  4.戦後初期の東京商科大学における組織運営の特質
4章 戦後初期における東京工業大学の組織再編
  1.戦後東京工業大学の改革基本方針の策定
  2.「系」に基づく組織運営体制の始動と諸改革の推進
  3.学制改革の基本方針の再確認と新制大学発足にむけた大綱の策定
  4.戦後初期における東京工業大学の「系」に基礎を置く組織再編の特質
  小括
終章
  1.戦後初期における大学の自律的な組織運営改革をめぐる議論の射程
  2.戦後初期における大学の改革構想とその探求
  3.残された課題
資料
  1.高等教育政策関係資料
  2.東京商科大学関係資料
  3.東京工業大学関係資料
主要参考文献一覧
あとがき
索引(事項・人名)

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著者

鳥居朋子著

鳥居朋子(とりい ともこ)
鹿児島大学教育学部准教授 

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