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書籍のご案内

経済史上のフランス革命・ナポレオン時代
  
服部春彦著
A5判・上製・320頁
(本体5,000円+税)
ISBN 978-4-8115-7401-1 C1033
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内容概略
 本書は、フランス革命・ナポレオン期におけるフランス経済の動態と構造変化、また関連する国際経済の変動について様々な観点から考察を加え、フランス経済の発展における大革命の積極的意義を明らかにするとともに、国際経済史に占めるこの時期の位置を確定しようとするものである。
 基本的な考え方として、フランス経済の発展様式が大革命の前後において大きく転換をとげ、ナポレオン期以降独自の特徴をもつフランス型工業化が始動し進展していくという見通しを提示する。次いでこのような見方を肉付けするために、革命前夜~ナポレオン後の時期に経済理論家や政策担当者が提起したフランス経済の再建・発展策の内容と、フランス革命の土地改革の社会的結果、またナポレオン期にかけての工業諸部門の回復と発展、さらに長期の海上戦争の中で生じた国際貿易の構造変化に注目し、詳細な実証的分析を行う。また海上戦争がフランスの主要な商工業中心地に与えたインパクトと、それに対応する商人や工業経営者の主体的で旺盛な活動の様を具体的に描出する。最後に、ナポレオンの大陸体制構想について政治・経済の両側面から再検討を加え、ヨーロッパ大陸におけるフランスの覇権樹立を目指した政策が挫折した理由を考察。以上を通じて本書は、革命・ナポレオン期のフランス経済の実態に関する認識を深め、フランス革命の歴史的意義の再評価を試みるものである。

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目次

はしがき
第1章 社会経済史からみたフランス革命
Ⅰ 研究動向と問題点
Ⅱ 革命の土地改革の社会経済的影響
Ⅲ 海外貿易の衰退と貿易構造の変化
Ⅳ フランス的工業化の道─近年の主要な学説から─
第2章 フランス的工業化の道─三つの路線の提起とその意義─
はじめに
Ⅰ 二つの貿易政策論の対立─フランス革命前夜から1793年まで─
Ⅱ フランス革命末期~復古王政初期におけるフランス経済再編・発展構想
Ⅲ 新しい工業化モデルの提起─シャプタルのフランス経済再編構想─ 
おわりに
第3章 総裁政府期フランスにおける貿易拡大政策の方向転換
はじめに
Ⅰ 総裁政府による対スペイン通商条約提案とその挫折
Ⅱ イタリアへの商業的進出の試みとその結果
おわりに
第4章 フランス革命と土地所有の社会的移動
はじめに
Ⅰ 国有財産の売却規模をめぐる問題
Ⅱ 国有財産の売却、転売と土地所有の社会的移動
Ⅲ 通常の土地取引の活発化とその理由 
おわりに
第5章 革命・ナポレオン期におけるフランス工業の変容
はじめに
Ⅰ 工業生産の全般的動向
Ⅱ 伝統的諸工業の変動
Ⅲ 近代的諸工業の発展
おわりに
補論 工業企業家の連続と更新
第6章 革命・ナポレオン戦争とフランス商工業中心地の対応
はじめに
Ⅰ 英仏海上戦争とボルドー貿易商人の戦略
Ⅱ ルーアン及びル・アーヴル経済における海上戦争の影響
Ⅲ ナポレオン期における内陸商業中心地ストラスブール
おわりに
第7章 革命・ナポレオン戦争期における国際貿易構造の変化
はじめに
Ⅰ 18世紀の国際貿易におけるフランスの地位
Ⅱ 革命・ナポレオン戦争期における国際貿易の変容
Ⅲ 国際貿易における仏英両国の地位の変化
おわりに
第8章 ナポレオンの「ヨーロッパ統合」─大陸体制の夢と現実─
Ⅰ 考察の視角と対象
Ⅱ 大陸体制の政治的・制度的側面
Ⅲ 大陸体制の経済的側面
IV 大陸体制構想の挫折とナポレオンの「遺産」
結語

索引

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著者

服部春彦著

服部春彦(はっとり はるひこ)
京都大学名誉教授

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