社会科学図書出版の多賀出版株式会社

 

書籍のご案内

社会-文化的環境における子どもの語彙獲得
  
村瀬俊樹著
A5判・上製・224頁
(本体4,000円+税)
ISBN 978-4-8115-7611-4 C1037
ご注文
内容概略
 私たちは、母語としての日本語をどのようにして獲得するのだろうか。日本語を獲得していく子どもたちは、どのような言語獲得環境の中で語彙を獲得していくのだろうか。それは、英語を獲得していく子どもたちのものとは異なるものだろうか。本書は、日米比較を軸として、日本の子どもにとっての言語獲得環境の特徴を明らかにし、また、子どもが語を用いて会話に参加するようになる過程を明らかにした。
 日本の養育者はなぜ育児語を使用するのか? 日本の赤ちゃん絵本は、アメリカの赤ちゃん絵本と比較してどのような特徴があるのか? 絵本を見ながら親子がする会話のパターンは、日本とアメリカの親子で異なるのか? これらの問いに対して、実証的なデータに基づいて議論がなされている。
 日本の子どもたちは、共感性を志向する文化的要因を背景とした言語環境の中で語彙を獲得している。これは、英語獲得児の言語獲得環境と異なる側面を持っている。日本語獲得児が語彙を獲得するメカニズムを明らかにすることは、英語など他の言語を獲得する子どもたちについての知見と合わせて、より普遍的な語彙獲得メカニズムの解明に貢献することが出来る。本書は、日本の子どもが語彙を獲得していくメカニズムを検討する視点についても論じている。

このページのトップ▲

目次

第1章 序論
 養育者のことばの役割に関する研究の概観
 社会-文化的環境における適応行動としてのことばの使用
第2章 育児語の研究
 研究1 養育者における育児語使用傾向の構造と育児語使用を規定する要因
第3章 養育者の言語行動と養育者の信念の関係
 研究2 公共図書館の養育者向け文書にみる乳幼児への絵本の読み聞かせについての信念
 研究3a 養育者の育児語使用傾向および絵本場面における会話スタイルと養育者の信念の関連性
 研究3b 養育者の育児語使用傾向と養育者の信念および絵本場面における会話スタイルとの関連性
第4章 絵本における擬人化表現の日米比較
 研究4a ブックリストで推薦されている赤ちゃん絵本における擬人化表現
 研究4b 公共図書館で貸し出し回数の多い絵本における擬人化表現
 研究4a, 4bの総合考察
第5章 絵本場面における養育者と子どもの会話に関する横断的研究
 研究5a 絵本場面における母子会話の発達過程:日本の母子におけるラベリングに関する発話連鎖の分析
 研究5b 絵本場面における母子会話に関する日米比較研究
第6章 絵本場面における養育者と子どもの会話に関する縦断的研究
 研究6 絵本場面での母子による発話連鎖に関する縦断的研究
第7章 結論
 日本の子どもたちの語彙獲得にとっての社会-文化的環境
 活動での言語的行動の遂行における養育者と子どもの相互作用
 残された問題と今後の展開
第8章 補論:日本語獲得環境における語彙獲得過程
 複数ラベル状況における語彙獲得
 語彙獲得と一般的認知能力の関係
 発話研究の必要性
引用文献
付記
索引

このページのトップ▲

著者

村瀬俊樹著

村瀬俊樹(むらせ としき)
島根大学法文学部教授

このページのトップ▲