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犯罪者プロファイリングにおけるベイズ確率論の展開
  
財津亘著
A5判・上製・208頁
(本体4,000円+税)
ISBN 978-4-8115-7661-9 C1011
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内容概略
 安全な国の象徴でもあった我が国の治安は昭和と平成を境に悪化の懸念が強くなっている。このことから、犯罪の増加に歯止めをかけ、国民の不安を払拭することが警察における喫緊の課題となっている。
 そのような情勢の中、近年我が国では新たな犯罪捜査の一手法として、犯罪者プロファイリングが注目されている。犯罪者プロファイリングとは、心理学的・統計学的に犯行現場の状況などを分析し、犯人の年齢層、職業、居住地等の推定、次回の犯行の予測を行うものである。本書は、この犯罪者プロファイリングにおける従来の方法論について論議し、新たな手法としてベイズ理論を応用したベイズ方式を提起及び検証することを目的とした。 ベイズ理論は近年人工知能、気象予報、医療診断などの応用分野において多岐に渡り活用されている。本書では犯罪者プロファイリングとともに、このベイズ理論についての歴史的経緯を振り返り、それぞれの特性を論議した上で、ベイズ方式の有効性について仮想未解決事件を想定した調査研究により検証した。

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目次

序章
第Ⅰ部 犯罪者プロファイリングの概要
第1章 捜査心理学   
 1 捜査心理学の定義と学問的位置づけ
 2 捜査心理学の概要
第2章 犯罪情報分析,犯罪捜査における戦略的分析と戦術的分析
 1 犯罪情報分析の概要
 2 先進国における犯罪情報分析
 3 日本における犯罪情報分析
第3章 犯罪者プロファイリング
 1 犯罪者プロファイリングとは
 2 日本における犯罪者プロファイリング
 3 本論文の目的と構成
第Ⅱ部 犯人像推定におけるベイズ方式への展開と応用研究
第4章 統計学を用いた犯人像推定の研究
 1 単変量解析による犯人像推定の研究
 2 多変量解析による犯人像推定の研究
第5章 ベイズ理論とその応用
 1 ベイズ統計学
 2 ベイジアンネットワーク
 3 犯罪者プロファイリングにおけるベイズ理論の応用
 4 ベイズ方式の利点
 5 従来の方法との比較
第6章 ベイジアンネットワークを用いた犯人像推定研究
 1 屋内強姦事件に関するベイジアンネットモデルの構築と検証
 2 連続放火事件に関するベイジアンネットモデルの構築と検証
 3 犯人像推定におけるベイズ方式の実用性
 4 ベイズ方式における諸問題と今後の課題
第Ⅲ部 ベイズ方式による犯行予測に向けた基礎的研究とその応用
第7章 犯行における時間情報と犯罪者との関連性に関する基礎的研究 
 1 連続強姦犯の特性と犯行間隔の推移について
 2 連続放火犯の特性と犯行間隔の推移について
 3 連続強姦事件における時間情報の類型と強姦犯特徴
第8章 ベイジアンネットワークを用いた時間的予測の研究
 1 連続強姦事件における犯行予測モデルの構築と検証
 2 連続強姦犯の犯罪深度を基にした犯行予測モデルの構築と検証
 3 犯行予測におけるベイズ方式の実用性
第Ⅳ部 総合考察-本論文の総括と今後の展望-
第9章 本論文の総括
第10 今後の犯罪者プロファイリングに関する展望
 1 犯人像推定における精神医学および心理学の新たな役割
 2 システムの導入促進と問題
 3 プロファイリングチーム編成について
 4 分析内容の拡充
第11章 次世代の捜査支援に向けて
引用文献
付録
あとがき
索引

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著者

財津亘著

財津亘(ざいつ わたる)
富山県警察本部刑事部科学捜査研究所研究官

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