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わが国の凶悪犯罪に対する犯罪者プロファイリングの総合的研究
  
岩見広一著
A5判・上製・横組・224頁
(本体5,500円+税)
ISBN 978-4-8115-7991-7 C1011
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内容概略
 犯罪者プロファイリングは、捜査情報の評価に心理学的手法等を用いて、犯人の行動や諸属性を予測する捜査支援手法である。
 本書は、1999年から2017年までに著者が取り組んできた犯罪者プロファイリングに関する研究の集成報告書である。この約20年間は、わが国において犯罪者プロファイリングの研究が開始されてから、実務で活用されていくまでの期間でもある。心理学的研究を実務に取り入れ、捜査支援技術として成立させることを重視した総合的研究である。
 本書では、社会心理学の視点から、人間の行動と人物属性の推定に関する研究と実務を関連させ、さらに現実の犯罪捜査環境に対応させ、犯人検挙に必要な手法として成立させることを目指している。犯罪は、犯罪者と被害者、犯罪者と環境との相互作用が必要であり、時間と場所という状況要因が付随する。犯罪捜査は、捜査に携わる者と犯罪者、被害関係者、関係する捜査員、関係する組織、環境との相互作用が必要であり、捜査の進捗状況等の時系列的な状況要因が付随する。犯人像等の推定過程では、状況要因を考慮した社会的認知の重要性を説いている。さらに、分析結果を実際の捜査に活用する過程では、状況要因を考慮した分析担当者と捜査担当者との対人的相互作用、捜査陣のような集団、あるいは組織レベルとのコミュニケーションの重要性を説いている。

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目次

Summary of the doctoral thesis
第1章 本論文の目的と構成
 1.本論文の背景
 2.本論文の目的と構成
第2章 社会心理学における犯罪の位置づけ
 1.社会心理学の研究領域
 2.犯罪と関連した社会心理学の研究領域
第3章 犯罪者プロファイリングにおける社会心理学の役割
 1.犯罪者プロファイリングの主な仮説・理論及び研究方法論
 2.犯罪者プロファイリングと社会心理学に共通する研究領域
 3.犯罪者プロファイリングと社会心理学に共通する分析方法
第4章 わが国の実務に必要な研究課題の明確化
 1.連続窃盗事件に対する分析事例と検証(研究1)
第5章 発生頻度が低い凶悪犯罪の研究
 1.はじめに
 2.性的殺人事件の犯行類型と犯人像との関連性(研究2)
 3.放火殺人事件の犯行類型と犯人像との関連性(研究3)
 4.司法機関を対象とした放火事件の犯行形態と犯人像(研究4)
 5.同一場所で再犯行に及ぶ性犯罪の連続犯に関する時空間特徴(研究5)
 6.女性単独のコンビニ強盗犯に関する特徴(研究6)
 7.第5章のまとめ
第6章 発生頻度が高い凶悪犯罪の研究
 1.はじめに
 2.金融機関強盗犯の犯人像と生活圏(研究7)
 3.年少者対象の性犯罪における犯人の犯罪経歴推定(研究8)
 4.犯罪手口に基づく被疑者順位づけシステムを利用した犯人像推定手法(研究9)
 5.第6章のまとめ
第7章 犯罪者に関する地理的領域の研究
 1.はじめに
 2.連続コンビニ強盗犯の特徴と犯行地選択について(研究10)
 3.性犯罪における点分布パターンによる地理的分析手法の比較(研究11)
 4.第7章のまとめ
第8章 総合考察──社会心理学的な視点による研究の総括と今後の課題──
 1.研究1から研究11の総括
 2.犯人検挙の意思決定に役立つ総合的な分析手法
 3.犯罪者プロファイリングにおける研究及び実務の課題
要旨 わが国の凶悪犯罪に対する犯罪者プロファイリングの総合的研究
引用文献
謝辞
本論文に使用した著書、論文等
索引

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著者

岩見広一著

岩見広一(いわみ ひろかず)
北海道警察本部刑事部科学捜査研究所専門研究官

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