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書籍のご案内

準地代からみた企業論
―多国籍企業論とコングロマリット論の再検討  
高橋 衛 著
A5判・上製・横組・132頁
(本体4,000円+税)
ISBN 978-4-8115-8061-6 C1033
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内容概略
 米国の企業などが貿易よりも国際生産の方を選択する場合、従来の典型的な形態は、海外直接投資(FDI)を行って、つまり出資を行って、海外現地子会社(WOSあるいはIJV)を設置するというものであった。しかし現在は、必ずしも出資型とはかぎらず、非出資型(NEM)の国際生産も増加している。
 米国の1895年から1904年までの第1次合併運動、1920年代後半の第2次合併運動、1950年代後半以降の第3次合併運動は、いずれも集権化による企業規模の拡大を志向するものだった。しかし現在は、PEFにみられるように、分権化による企業組織のスリム化を志向するM&Aも増加している。
 これまで経営管理の側面から分析されてきたこれらの傾向を、本書は、固定支出・可変支出の比率、銀行業務・証券業務の関係などの財務管理・企業金融の側面から分析している。
 本書は、すでに古典となり取り上げられる機会が少なくなった1960年代米国の多国籍企業(multinationals)論とコングロマリット(conglomerates)論を再考察し、1980年代以降の米国の企業活動の傾向・特徴を浮き彫りにし、企業論の基礎概念である準地代(quasi-rent)の源泉の現実の変化を指摘している。
 準地代の概念は、リカード(David Ricardo)の農業の地代の議論をふまえつつマーシャル(Alfred Marshall)が工業の利潤の議論に使用し、現代においてもなお経済学(ミクロ経済学)や経営学(国際経営論、企業金融論)で重視されているものである。

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目次

第1章 序論
 1.本研究の課題
 2.準地代の内容と意義
 3.本研究の構成
第2章 資金需要
 1.本章の課題
 2.固定支出の可変支出化
 3.小括
第3章 資金供給
 1.本章の課題
 2.商業銀行による証券業務への参入
 3.小括
第4章 原初的多国籍企業の準地代
 1.本章の課題
 2.背景としての経営環境
 3.海外現地完全所有子会社の設置
 4.小括
第5章 余剰資本下における多国籍企業の準地代
 1.本章の課題
 2.背景としての経営環境
 3.非出資型(NEM)国際生産
 4.小括
第6章 原初的コングロマリットの準地代
 1.本章の課題
 2.背景としての経営環境
 3.買収方法と資本調達方法の多様化
 4.小括
第7章 金融資本市場の発展に伴うコングロマリットの準地代
 1.本章の課題
 2.背景としての経営環境
 3.PEファンドとLBO
 4.小括
第8章 結論と今後の研究課題
 1.要約と結論
 2.本研究の意義
 3.本研究の示唆
謝辞
参考文献

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著者

高橋 衛 著

高橋 衛(たかはし まもる)
常葉大学経営学部教授

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