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規範と国家アイデンティティーの形成
  
西村めぐみ 著
A5版・上製・384頁

ISBN 4-8115-5691-3 C1031 (品切れ)
内容概略
 本書は、欧州安全保障協力機構(OSCE)の紛争予防・危機管理のメカニズムの発展と、旧共産主義国での活動の実証的分析を通じて、近年、欧州の国際政治学界を中心に繰り広げられているコンストラクティヴィズム(構成主義)をめぐる論争に貢献しようとするものである。
 本書の特色は、第一に、従来、秘密性の強かったOSCEの紛争予防・危機管理の実際の幾つかの事例を詳細に検討することにより、OSCEが新興国家のアイデンティティーの形成に貢献していることを明らかにした。第二に、規範やアンデンティティーの影響を重視するコントラクティヴィズムの実証可能性を批判的に検討した。第三に、柔軟性に富むOSCEのアプローチが、冷戦終焉後のヨーロッパにおいて、強制力に基づく伝統的な紛争予防の手法に比べて、どのような利点を持つのかという点を検討したことである。

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目次

第一部 理論的課題と問題設定
  第一章 OSCEの紛争予防・危機管理と問題設定 OSCEのアプローチの特色
  第二章 国際関係における規範 伝統的国際関係理論とコンストラクティヴィズム
第二部 OSCEにおける規範の創設-紛争予防・危機管理メカニズムの発展-
  第一章 OSCEにおける紛争予防の平和的解決メカニズムの発展
      国際関係における紛争の平和的解決の原則
      OSCEにおける紛争の平和的解決の原則
  第二章 OSCEにおけるナショナル・マイノリティーに関するメカニズムの発展
     -戦後の国際関係とナショナリズム・マイノリティー 少数民族高等弁務官
  第三章 OSCEにおける信頼醸成措置の発展
     -ヘルシンキCBM フランスによるCDE提案 ストックホルムCSBM ウィーンCSBM
  第四章 OSCEにおける人的次元メカニズムの発展 伝統的人権規範 ODIHR
第三部 メカニズムの適用と国家アイデンティティーの形成
  第一章 バルト諸国 復興主義国家とロシア人マイノリティー
  第二章 マケドニア共和国 国勢調査 国家機構へのマイノリティーの登用
  第三章 ウクライナ共和国 クリミア問題 タタール人問題
  第四章 グルジア共和国 南オセチア問題 アブハジア問題 国家体制の民主化
  第五章 モルドヴァ共和国 トランスドニエステル問題 人権保護
  第六章 タジキスタン共和国 政治的和解プロセスへの参加 OSCEの限界
第四部 結 論
  第一章 OSCEにおける紛争予防・危機管理 強制力によるアプローチの限界
  第二章 冷戦後のヨーロッパの紛争予防・危機管理をめぐる論争とOSCE
  第三章 OSCEの紛争予防・危機管理における規範とアイデンティティーの形成

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著者

西村めぐみ 著

西村めぐみ(にしむらめぐみ)

1961年 兵庫県生まれ
1984年 早稲田大学法学部卒業
1990年 早稲田大学政治経済学研究科修士課程修了
1996年 一橋大学法学研究科博士後期課程単位修得退学
1998年 法学博士(一橋大学)
現 在 二松学舎大学国際政治経済学部助教授

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